
8月13日から14日にかけて開催されるブロード・アロー・オークションズの「Monterey Jet Center Auction」は、170台以上のコレクターズカーが集結する注目のイベントである。今年はとりわけ、日出ずる国が生んだ名車たちに熱視線が注がれている。
【画像】アメリカのオークションで熱い視線を注がれる日本の名車たち(写真14点)
映画『ワイルド・スピード』シリーズでその名を広く知られるようになった日産スカイラインGT-Rや、2JZエンジンで知られるトヨタ・スープラなど、JDM(Japanese Domestic Market)を代表するモデルたちが多数出品されるのだ。いずれも希少性の高い個体ばかりで、世界中のコレクターが注目するのも当然だろう。
今回出品される日本車の中でも、とりわけ異彩を放つのが「NISMO Clubman Race Spec GT-R」である。ベースは1999年式スカイラインGT-R Vスペックで、NISMO大森ファクトリーによって完全分解・再構築された一台。オリジナルの車体剛性測定から始まり、カーボンパーツの追加、NISMOパーツでのドライブトレイン強化、R4仕様の2.8リッターエンジン搭載と、まさにNISMO哲学の結晶といえる存在だ。ブラックパールメタリックの外装は本車のみで、走行距離はわずか36kmと極上。CRS仕様のR34は全世界で20台未満ともされる、まさに”再構築された伝説”である。
ホンダの傑作ミッドシップ「NSX」からは、2台のNA1型NSX-Rが登場。いずれも1990年代前半に日本市場でのみ販売されたサーキット志向のスペシャルモデルだ。エアコンやステレオなどの快適装備を削ぎ落とし、軽量化とハンドリング向上に徹したNSX-Rは、当時483台のみ生産された希少な存在である。
1台はチャンピオンシップホワイトに身を包んだ個体で、エアコンとステレオを追加装備しており、実用性も備えた好バランスの一台。もう1台はベルリナブラックのボディに赤いアルカンターラのRecaroシートが映える仕様で、ナンバーマッチのC30Aエンジンを搭載。軽微なカスタムを除いてほぼオリジナルコンディションを保っており、全体を通じて丁寧な整備履歴が記録されたコレクターピースである。
スバルからは伝説的なWRCホモロゲモデル「インプレッサ 22B STi」も出品。1998年にわずか400台限定で製造されたこのモデルは、EJ22型2.2L水平対向ターボエンジンを搭載し、ビルシュタインダンパーや専用ワイドボディ、17インチの金色BBSホイールなど、WRCマシンに限りなく近いロードカーとしてファン垂涎の的である。出品車は国内での良好な履歴を持ち、走行距離は約36,800kmという優良個体だ。
同じくスバルからは2007年式の「WRX STi」も登場。いわゆる”鷹目”最終型のSTiで、WRブルーパールと金色ホイールの組み合わせがWRC直系を強調する。走行距離はなんと約9,900km弱。1オーナーかつ専門ショップによる整備履歴付きで、今後のヴィンテージ価値の高騰が見込まれる”ネオクラ”の好例といえるだろう。
トヨタ・スープラの中でも、JZA80型のRZグレードは外せない存在だ。搭載される2JZ-GTEエンジンは純正状態でも高性能で知られ、後年のチューニング文化を牽引した。今回の出品車は1995年式で、右ハンドル・6速MTの日本仕様。走行距離約63,000kmで、日本からアメリカに渡り、南カリフォルニアのコレクションで大切に保管されていた一台である。
そして最後に紹介するのは、日産の「シルビア S15 スペックR」。1999年に日本市場専売で登場したこのモデルは、SR20DETエンジンを搭載し、6速MTやヘリカルLSD、300ZX由来の4ポットキャリパーなど、本格派スポーツクーペとして評価が高い。今回の出品車はスパークリングシルバーのLパッケージ仕様で、東京の個人オーナーのもと長く保管されていた。走行距離は約37,500km。渡米後も南カリフォルニアで丁寧に保管されており、希少な右ハンドルJDMクーペとして価値が高い。
こうして見てみると、どの車も単なる移動手段を超え、時代や文化を象徴する存在であることがわかる。自動車の歴史において、日本車が圧倒的な存在感を示すようになってから長い年月が経ったが、特にこれらの車はストリート、レース、コレクションと自動車文化の様々な局面においてトップレベルの人気を誇る。8月のモントレーで繰り広げられるこの競売は、単なる売買の場ではない。JDMという文化が、いまや世界的な価値を持つことを証明するショーケースでもあるのだ。