誰でもかかる可能性がある脳梗塞。急に症状が出る脳梗塞だけでなく、自分では気づかないうちにできている隠れ脳梗塞もあります。これを見つけるにはどうすればいいのでしょうか。放置した場合のリスクや見つかったときの対処法とあわせて紹介します。

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■症状がないのに脳梗塞!? 「隠れ脳梗塞」とは?

脳梗塞とは脳の血管が詰まり、脳の血流が悪くなること。通常は詰まった先の脳細胞の働きが悪くなり、突然言語障害や運動障害などの症状が現れます。

<検査してわかる「小さな詰まり」>

ところが、脳梗塞の症状は何も出ていないのに、検査をすると脳の小さな血管の詰まりが見つかることがあります。これが隠れ脳梗塞です。隠れ脳梗塞という言葉は一般的な通称で、医学的には「無症候性脳梗塞」と呼ばれます。

無症候性脳梗塞の多くはラクナ梗塞と呼ばれる小さい脳梗塞です。細い血管の小さな詰まりのため、周囲の脳細胞に与える影響が少なく、症状が現れることはありません。本人にも自覚症状はなく、検査をして偶然見つかるものになります。年齢が上がるにつれて増えていき、高齢者では10~20%に見られるといわれています。原因の多くは高血圧です。

■隠れ脳梗塞を見つける方法はある?

隠れ脳梗塞はMRIやCTによる脳検査で見つかります。一般的な健康診断や人間ドックには、脳検査は含まれません。追加のオプションとして脳ドックを選択するか、別途受けに行くことになります。

<中年以降、高血圧の人はぜひ一度検査を>

脳ドックは中年以上の人、高血圧や脂質異常症、糖尿病がある人、喫煙習慣がある人、肥満気味の人、家族に脳卒中や認知症の人がいる人にすすめられています。当てはまる場合は、定期的に脳ドックを受けることで隠れ脳梗塞を発見できます。頭痛やもの忘れなど、ほかの症状で受診して検査を受けた結果、隠れ脳梗塞が見つかることもあります。

<MRI・MRAで脳を調べる「脳ドック」>

脳ドックは保険診療の適用外で全額自費負担となり、費用の目安は2~5万円です。金額は検査内容や実施する施設によって異なります。健康診断を実施している医療機関や脳神経外科があるクリニックなどで受けることができます。

CTで隠れ脳梗塞が見つかることもありますが、隠れ脳梗塞の検査として適しているのはMRIです。脳ドックでは一般的な検査内容になります。MRIと同時に脳の血管の様子を調べるMRAが実施されることが多く、このほか頸動脈エコー、心電図、血液検査なども行われます。

複数の検査を組み合わせるため、全体で1時間半~3時間ほどかかります。費用や時間の負担はありますが、隠れ脳梗塞のほかに、症状が出ない微小な出血や脳動脈瘤、脳腫瘍なども発見できるほか、将来の認知症のリスクを調べることもできます。

MRIは強力な磁場を利用するため、心臓のペースメーカーなど体内に医療機器がある場合や手術などで金属を入れた場合などは、検査を受けられない可能性もあります。検査を受ける前に確認し、気になる場合は検査を受ける医療機関で相談しましょう。

■隠れ脳梗塞が見つかったらどうする?

検査で隠れ脳梗塞が見つかっても、症状がないから、治療の必要がないと言われたからと放置をするのはおすすめできません。隠れ脳梗塞は認知症につながるリスクや、重症の脳梗塞、脳出血を起こすリスクがあります。またうつ病がある人では、せん妄を起こしやすくなります。過剰に心配する必要もありませんが、日常生活でできることもあるので、対処法を知ってできることから取り組んでみてください。

<要因を把握し、対策を>

隠れ脳梗塞が見つかったら、脳神経外科や脳神経内科などで専門の医師に相談しましょう。隠れ脳梗塞の要因を把握し、必要に応じて治療を行います。場合によっては予防のためのお薬が処方されることもあります。

日常でできることとしては、高血圧であれば、塩分をコントロールしたバランスの良い食事、適度な運動、ストレスをためないことを心がけましょう。また、喫煙は脳梗塞のリスクを高めるため、禁煙がすすめられています。脂質異常症や糖尿病がある場合は、その治療を受けてください。これらは脳梗塞の危険因子となるので、早期に見つけるためにも定期的に健康診断を受けましょう。

また、脱水にならないよう、暑いときや運動をするときは充分な水分補給を。冬場の浴室やトイレなど、急激な温度変化にも注意してください。生活習慣に充分気をつけたうえで、脳検査も定期的に続けていきましょう。

■隠れ脳梗塞を見つけるためにも定期的な検査を

脳梗塞は生活習慣の改善が予防につながります。隠れ脳梗塞は本格的な脳梗塞や脳出血、認知症につながるリスクがあるため、医師から治療の必要がないといわれたとしても、自分でできることは積極的に気をつけていきましょう。さらに定期的な検査も忘れずに受けて経過を見るようにしてください。

最後に無症候性脳梗塞に関して、脳神経内科の専門医に聞いてみました。

無症候性脳梗塞の多くは、ラクナ梗塞と呼ばれる小さな脳梗塞であり、生活習慣病の管理が予防の基本です。症状はありませんが、これらが多発すると将来的に認知機能の低下や運動障害(特に歩行障害)を引き起こすことがあります。また、大血管の狭窄・閉塞によるアテローム性脳梗塞や、心房細動に伴う心原性脳塞栓症においても、病変の部位によっては無症候性に経過することがあります。

これらの病変は将来的に大きな脳梗塞に進展し、重度の麻痺や意識障害を引き起こす可能性がありますが、カテーテル治療や外科的治療によって新たな脳梗塞の発症を抑えることができる場合もあります。頭部MRIを用いた脳ドックは、こうした無症候性病変の早期発見と対策に有用です。

金井 雅裕(かない まさひろ)先生

一宮西病院 脳神経内科/副部長 / 脳卒中センター副センター長
資格:日本神経学会 神経内科専門医、日本内科学会 総合内科専門医、日本脳卒中学会 脳卒中専門医