社会に出た瞬間から、“割を食ってる”気しかしない――。就職活動で直面したのは、戦後最悪の大不況。人口だけは多いのに、正社員枠はほぼ皆無。報われなかったあの頃と、今も続く理不尽の数々、それでもなんとか生き抜いてきた……。そんな就職氷河期世代当事者へのアンケートから、彼らが抱いている本音を紹介していこう。
「就職氷河期世代」とは、バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しい時期、主に1993年から2004年頃に就職活動を行った人たちのこと。企業は採用を大幅に絞り込んだため、若年層の就職はかつてないほど困難を極めていた。厚生労働省の資料によれば、1998年の大学卒業者に対する求人倍率はわずか「0.99倍」。求職者1人に対して1つの枠さえない苛烈な状況だった。
■熾烈を極めた就職活動
就職氷河期とはまさに、イスのない椅子取りゲーム。企業説明会にはリクルート姿の学生たちが殺到し、手書きのエントリーシートを何百通書いても、応募書類は通らない。なんとか面接に呼ばれても採用には至らない……多くの若者にとって、就活は過酷な現実の連続だった。
●「100社以上応募したが、説明会に呼ばれることはほとんどありませんでした」(50歳女性)
●「大企業の一次面接で、面接待機者が大きなビルのワンフロアをぎっしり埋め尽くしていた光景は忘れられない。しかもそれが応募者を数十等分に分けたうちのひとつだったと後で知り、驚いて失望した」(48歳男性)
●「圧迫面接で心が折れそうになりながら受け続けた辛い日々は思い出したくない」(46歳女性)
●「会社説明会の段階で『いらない』と言われた」(46歳男性)
●「今年は不景気なので採用をやめます、と言われた」(50歳男性)
●「同級生の半分が就職できなかった」(46歳男性)
●「四大卒業だと、就職浪人ばかり。同窓会を毎年開けないくらい音信不通の知人が増えていった。みんな、ちゃんと生きているのか…本当に悲惨な世代だと思う」(43歳男性)
どれだけ努力しても報われない厳しい現実に、希望の業界への就職どころか、正社員をいったんあきらめて、「どこかに就職できれば御の字」と契約・派遣社員やアルバイトを選んだり、就職浪人を選んだり……そんなほろ苦いスタートを切った人は少なくない。
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■働き始めてから、待っていたのは“理不尽”の連続
なんとか職を得て社会人になった彼らを次に待ちうけていたのは、過酷な労働環境。長時間労働、サービス残業は当たり前、パワハラやセクハラという概念が定着する以前の「根性論」全盛期、もし「辞めたい」と言おうものなら「代わりはいくらでもいる」と、冷たく突き放されることは珍しくなかった。
●「ブラック企業に就職したのでパワハラを受けまくったし、長時間労働や休日出勤が当たり前だった。今はそれが減っていて羨ましい」(44歳男性)
●「朝から終電まで全力で200%働いて徹夜も当たり前だったので、そうではない上下の世代とは話がしばらく合いませんでした」(45歳男性)
●「『お前の代わりはいくらでもいる』と当たり前に言われていた」(44歳男性)
生まれた年代が少し違うというだけで、こんなにも境遇が変わるのか――世代間の格差を目の当たりにして、そんなやるせなさに打ちのめされた人も多い。
●「先輩はバブル期入社、後輩は売り手市場」(49歳女性)
●「ようやく給料が上がる年齢になったと思ったら、新入社員への給料アップで原資がないと言われた」(44歳男性)
●「給与ベースがずっと低いまま今に至り、今や新卒者とたいして変わらない」(47歳男性)
●「今テレビで若者の初給料を聞いて愕然としてる」(46歳女性)
●「同級生が結婚できない、非正規の人が多い」(49歳男性)
好景気を享受したバブル世代と、働き方改革の恩恵を受ける若手世代の狭間で、最も損な立場に置かれ続けたこの世代。キャリア格差に給与格差、生涯賃金も、氷河期世代だけが顕著に低いのが実情だ。
■割りを食った実感、それでもなんとか生きてきた
不利なスタートを切ったまま、景気の波にも乗れず、中堅・ベテランになった今も「格差」と背中合わせ。周囲に同世代が少ないのも、この世代ならではの特徴といえるだろう。
●「会社に同期がいない」(50歳男性)
●「転職しても、同世代の同僚がいない」(50歳女性)
●「現在の職場で派遣社員は同世代ばかり、下の世代は正社員ばかり」(47歳男性)
キャリアも、収入も、生活の安定も、他の世代と比べて“割を食った”という実感を抱えている人は多い。それでも諦めずに試行錯誤を重ね、転職やスキルアップを積み重ねたり、目の前の仕事を地道に積み重ねることで、暮らしを立て直してきた人もいる。
●「若い頃が酷すぎたので、中途入社できたプライム上場企業の仕事が楽に感じられた」(48歳男性)
●「厳しい時代があったからこそ色んなものに耐性ができた気がする。ただ若い世代との給料の差はもう少し広げてほしい」(44歳男性)
●「大変な世代でしたが、結果タフになり経験値も莫大に得られたので、それは良かったと思います。報われているかというと微妙かもしれません」(45歳男性)
●「資格やスキルを積み上げてきたので、今の会社を辞めてもどこでもやっていける自信がある」(50歳女性)
最近になってようやく政府が重い腰を上げ「就職氷河期世代」支援を打ち出し始めたが、当事者にとっては「さんざん見捨てておいて、今さら何?」感がぬぐえないのが本音ではないだろうか。長きに渡って“人生の選択肢”を奪われてきた就職氷河期世代も、最初の層は50代に突入した。だが人生の折り返し地点を過ぎてなお、“生活の不安定さ”と“先行きの見えなさ”を感じている人は少なくない。
支援の必要性が語られるようになった今こそ、氷河期世代のこれまでの歩みに、正面から目を向けるときではないだろうか。支援策を打ち出すだけでなく、彼らの声を拾い、選択肢を広げることで、遅ればせながら「報われる道」が見えてくるのかもしれない。
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調査時期: 2025年5月12日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数:365人
調査方法: インターネットログイン式アンケート




