フェラーリ認定中古車は、フェラーリ・クラシケへの架け橋となる|永遠のフェラーリ

フェラーリを長く維持し共に暮らすこと。それはオーナーにとってこの上ない悦びであろう。あまたの時を経てもフェラーリが永遠の存在として愛され続けるために、フェラーリ自身も各種プログラムを用意してオーナーを懸命に支援している。今回はその具体的な内容をご紹介しよう。

皆さんは、ご存知だろうか?

その80年近い歴史を通じて、フェラーリは通算 28万台以上の”跳ね馬”を世に送り出してきたが、そのうちの実に90%が現在に至るまで生き延びているという事実を……

そう聞いて、皆さんは「フェラーリほど高価で希少な車両であればそれも当然」とか「フェラーリ・オーナーは特別に裕福なのだからメンテナンスや修理に要する費用を惜しまないのだろう」と思われるかもしれない。もちろん、それらもフェラーリの残存率が傑出して高い理由だろうが、もうひとつ指摘すべきことがある。それは「フェラーリ自身もまた、すべてのフェラーリが永久に生き続けられるように懸命の努力をおこなっている」というもの。それも精神的な支えだけでなく、認定中古車プログラムやワランティーエクステンション・メンテナンスプログラムなどの具体的な活動としてオーナーを支援しているのだ。

フェラーリ・アプルーブドの認定中古車となるために

フェラーリの中古車認定プログラムは、過去14年以内に新車登録がなされた車両を購入する場合が対象となり、フェラーリ独自の多岐にわたる一連の管理および保証によって構成されている。

まず、入庫された車両は、専門のトレーニングを受けたメカニックにより、内外装の状態、ダイアグノーシス・システムによる診断、メカニズムの機能テスト、オイルやフルード類の確認などがおこなわれる。そうした作業の内容や手順は、すべてフェラーリ・アカデミーで学ぶことになっており、日本のフェラーリ正規ディーラーに勤務するメカニックたちも、定期的にここを訪れているという。

フェラーリ認定中古車として認められるには、ファクトリーが定める最大で202項目にも及ぶチェックを行う必要がある。広範囲にわたり、ファクトリーでトレーニングを受けたテクニシャンが徹底した検査をおこなう。

私も先日、フェラーリ・アカデミーで作業の様子を見学したが、その厳密さや範囲の広さは新車時の車両検査と同等といって差し支えない。ちなみに、その検査項目は合計で202にも及ぶうえ、たとえば内外装に細かなダメージが発見された場合の補修作業は、新車時の車両検査と同じクオリティでおこなわれているように思われたほど。さらに、すべての作業が終わった際にテスト走行をおこなうのも新車時とまったく同じだ。

また、フェラーリ・アプルーブドの認定中古車として販売される際には、車両の現在の状態と過去の履歴が徹底的に調査される。この車両検査でもうひとつ興味深いのは、すべての検査結果がマラネロ本社のデータベースに登録され、改めて検査をおこなう場合には、過去の検査結果と矛盾がないかを照らし合わせる点にある。

これはかなり極端な例だが、もしもオドメーターの数値が前回の検査時を下回っていた場合には、なんらかの不正がおこなわれたと判断し、これ以降、フェラーリの認定中古車とは認められなくなる。裏を返せば、本社のデータベースを活用することにより、1台1台のフェラーリの素性や経歴が完全な形で記録され、「正規のフェラーリ」であるか否かを厳密に判定できるようにしているのだ。

そのほかにもフェラーリが定める純正パーツ以外のものが装着されていないかどうかなどを厳しくチェック。完全に「正規のフェラーリ」であることが確認された個体だけが、フェラーリの認定中古車として販売される。つまり、そのクオリティはマラネロのお墨付きを得たも同然だ。

さらに、フェラーリ認定中古車には、機関や電装類に関する不慮のトラブル発生時でも、工賃や主要交換部品代金までがカバーされるフェラーリ保証(12カ月)が適用されるほか、トラブルが発生し走行不能となった場合に必要に応じて最寄りのフェラーリ正規ディーラーへ輸送してくれるフェラーリ・ロードサイドアシスタンス(12カ月)が付帯するのも心強い。

最長16年間にわたる保証とメンテナンスプログラム

フェラーリを永続的な存在として保ち続けるための各種保証やメンテナンスプログラムについてもここで紹介したい。標準のメーカー保証は新車購入から3年間有効だが、ワランティエクステンションとして、メーカー保証終了後に保証期間を1年または2年単位で最長8年目まで延長できるプログラムも用意されている(一部のモデルは最長7年目まで)。このプログラムでの保証内容はメーカー保証と同様となる。

ワランティエクステンションの有効期間が満了したフェラーリには、「パワー16」という延長保証プログラムがある。これはエンジン、ギアボックス、トランスミッション、その他すべての主要な機械的および電子的コンポーネントをカバーするもので、あらかじめ決まった額さえ支払えば、万一のときには無償で修理や交換をしてもらえるため、オーナーにとっては心強いプログラムといえるだろう。

メンテナンスに関しても触れておきたい。フェラーリ独自の7年間メンテナンスプログラムはフェラーリ(一部車両除く)に新車保証開始日から7年間、無償にて付帯されているもので、メーカー指定点検、エンジンオイル、ブレーキフルードなどの交換が含まれている。このプログラムは各車両に紐づくものであるため、当該車両のオーナーが変わった場合にはその権利は新しいオーナーへと引き継がれることになる。

7年間のメンテナンスプログラムの終了後は、8年目から16年目までのメンテナンスと、前述の「パワー16」を組み合わせた「メインパワー16」に加入することも可能。「パワー16」と「メインパワー16」については、定められた期間内に必要な点検や整備を受けることで、いつでも加入することができる。(一部の車種は「パワー15」「メインパワー15」が適用)

プラグイン・ハイブリッドモデルのサポート体制

ここで疑問を抱いた向きもいるのだろう。

これまでフェラーリは SF90ストラダーレ /スパイダーや 296GTB/GTSといったプラグイン・ハイブリッドモデルを生産してきたが、それらに搭載されている高電圧バッテリーのメンテナンスはどうなるのだろうか?

実はSF90ファミリーと296ファミリーに関しても、長期を見据えた保証スキームが存在する。新車保証終了後のハイブリッド車専用の延長保証プログラムとして、2年または 3年ごとの更新可能なパッケージが販売される。新車から8年目のおわりには最新ハイブリッドバッテリーへの交換サービスがあり、その先もパワー保証としで16年目のおわりには最新バッテリーと交換するプログラムが用意されている。

もっとも、バッテリーの生産を外部に委託している限り、発売の16年後までそれらの供給を完全に保証することは難しい。そこでフェラーリは社内でバッテリーを生産できる体制を構築。バッテリーを供給できる仕組みを作り上げたのだ。

実は、このバッテリーを生産する機能は、昨年完成したフェラーリのeビルディング内に設けられている。いや、たとえプラグイン・ハイブリッドモデルであっても、フェラーリを永遠の存在とし続けるために、このeビルディングは建設されたといっても過言ではないのだ。

2024年6月にイタリア・マラネロのフェラーリ本社に完成した新工場「eビルディング」。「e」は”evolution”(進化)、”environment”(環境)、”energy”(エネルギー)の3つの”E”を表す。

もちろん、技術の進化にあわせてハイブリッドシステムに用いられるバッテリーセルも進化していき、より小型軽量でありながらより高性能なバッテリーパックを作り出す可能性も生まれる。将来的には、新しい技術で生産された、新車時以上に高性能なバッテリーに積み替えることになる可能性もあるという。

フェラーリを永遠の存在とするためのサポートは、前述した新車時から最長16年にわたる保証やメンテナンスで終わるわけではない。20年目以降のフェラーリはフェラーリ・クラシケの認定を受ける事で、オリジナルの設計に準拠していることを正式に証明する「クラシケ鑑定書(Certificate ofAuthenticity)」が発行される。さらにその谷間を埋める存在としてフェラーリ・プレミアムが用意されている。フェラーリ・プレミアムは、フェラーリ・クラシケへの準備期間ともいえるもので、使用期間が 20年に近づくと傷みやすくなる配管やゴム類などの補修部品をセットで計画的に交換するサービスを受けることができる。

フェラーリ・クラシケ部門は独自のアーカイブをもち、1947年以降に生産されたすべての車両についてのアセンブリ・ダイアグラムが丁寧に保存されている。

フェラーリ・クラシケ認定書の発行にあたっては、フェラーリ・クラシケの専門家グループによる入念な検査が必要となる。

なぜ、フェラーリはここまでして自分たちの製品を「永遠の存在」にしようとしているのか。

それは、自分たちが作り上げた製品に限りない誇りと愛情を抱いていると同時に、その価値を最大限高めることで”跳ね馬”を手に入れた顧客に報いようとしているからだ。結果的にこれがリセールバリューの向上に結びついていることはいうまでもない。

また、チーフ・マーケティング&コマーシャル・オフィサーのエンリコ・ガリエラは、あるとき「フェラーリは欲しいが、メンテナンス費用が高くては手が出ない」という声を聞いたことが、保証やメンテナンスプログラムを充実させた理由だと語っている。マラネロによって品質が保証されたフェラーリに定額のメンテナンスフィーで乗り続けられる環境を整えること。それは長期にわたりフェラーリを保有しているオーナーのみならず、初めて”跳ね馬”を手に入れる顧客に向けた取り組みであるともいえるだろう。

しかも、1年以上の納期がめずらしくない新車のフェラーリと異なり、認定中古車であれば即納車が少なからず揃っているため、フェラーリ正規ディーラーの門を初めて叩く”フェラーリ入門者”にとっても最適な選択といえる。一方で、新車の納車が待ちきれない既存顧客が”すぐに乗れる「正規のフェラーリ」”としてフェラーリ・アプルーブドの車両を選ぶのも賢い選択であることは言うまでもない。

いずれにせよ、フェラーリ・オーナーへの入り口ともいえるフェラーリ・アプルーブドの究極的な目標は、マラネロが生み出した製品に永遠の存在としての生命力を与えることで、顧客が”跳ね馬”と暮らせる環境を整えることにある。これを実現するため、前述したフェラーリ本社のデータベースは、すでにフェラーリ・クラシケとの一本化が図られているという。

「自分たちが誇りと愛情を持って作り上げた製品だから、お客様にも長い歳月にわたって愛し続けていただきたい」フェラーリ・アプルーブドには、そんな願いが込められているのだ。

文:大谷達也 写真:フェラーリ Words:Tatsuya OTANI Photography:Ferrari

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