• 松下洸平

――俳優としても活躍されていますが、美術を学んだ経験がどのように表現活動に生かされていますか?

何事も、ある程度までは時間をかけて練習をすれば少しずつ身についてくると思っています。絵もお芝居も、まず「好き」という気持ちがあって、それを大事にしながら誰かに教わったり、一生懸命取り組んでいけば、少しずつ上達していけるんじゃないかなと。お芝居も、ある程度までは練習を重ねれば「人前でやってみようかな」と思えるところまでは近づける気がするのですが、その先が本当に難しくて。やっぱり自分ならではの表現、オリジナリティが求められますから。美術科に通っていたときも、「ある程度描けるようになったな」と思ったところで、次の段階として、自分の絵でご飯を食べていくことを考えると「描けるだけじゃダメ。ああ、ここから先はオリジナリティか……」と壁にぶち当たったことがありました。お芝居でもまったく同じような感覚があって、技術の先にある“自分らしさ”を探していく、その旅がずっと続いているような気がしています。ものづくりは全部同じなんだなと学びました。

――オリジナリティを模索するために、日頃から大切にしていることを教えてください。

「誰かがもうやっていることじゃなくて、自分にしかできないことを見つけたい」という気持ちは、常に意識しています。来年から大河ドラマ(『豊臣兄弟!』)で徳川家康を演じるのですが、もう本当に多くの俳優の方々が演じてきた役で、正直“出尽くしている”ように感じる部分もあります。それでも、どこかに自分にしかできない家康がいるはずだと信じて、探していくしかないなと。

――まだ旅半ばなのかもしれませんが、これまでの俳優活動の中での転機は。

初めて舞台に立ったときは大きな転機でした。舞台からお芝居を始めたんですが、その時に感じた熱量や、人前で演じることの面白さ、ドキドキする感じは今でもはっきり覚えています。あの時の経験がなければ、きっと今こうして続けていなかったかもしれません。

  • 松下洸平
  • 松下洸平
  • 松下洸平
  • 松下洸平
■松下洸平
1987年3月6日生まれ、東京都出身。2008年に「洸平」名義でシンガーソングライターとしてデビュー。2010年に本名の松下洸平に改名し、俳優活動を本格化。2012年の舞台『スリル・ミー』などを経て、2019年にNHK連続テレビ小説『スカーレット』で注目を集める。以降、ドラマ『最愛』(TBS)、『アトムの童』(TBS)、映画『ミステリと言う勿れ』など話題作に出演。音楽活動も継続しており、2024年には4thシングル『愛してるって言ってみてもいいかな』をリリース。2026年放送のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では徳川家康役を務める。2024年放送の『光る君へ』に続き、2度目の大河ドラマ出演となる。
■「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」
2025年7月5日~8月31日に大阪市立美術館、2025年9月12日~12月21日に東京都美術館、2026年1月3日~3月23日に愛知県美術館にて開催。休館日など詳細は展覧会公式ホームページを参照。