JR東日本は18日、東北新幹線を走行していたE8系の回送列車が故障し、宇都宮~那須塩原間で停車した事象に関して、概況や今後の対応など同社のサイトに公開した。原因が判明するまでの間、新幹線・在来線区間ともにE8系の単独運転をすべて取りやめる。
同社の説明によれば、6月17日11時24分頃、E8系7両編成の回送列車(上野発盛岡行)が東北新幹線を走行中、車両故障を起こして宇都宮~那須塩原間(那須塩原駅まで約3kmの位置)で停車。運転士が車両点検を行ったところ、自力走行できない状態であることを確認したという。当該車両は川崎車両により新造され、6月10日に落成。営業車両として使用する前の確認を行うため、6月16日に1回目、6月17日に2回目の確認走行を実施していたところだった。
回送列車の後に運転されていた下り「はやぶさ17号」も宇都宮~那須塩原間で停車したが、上り「なすの274号」を隣に停車させ、渡り板を使用することで、「はやぶさ17号」の乗客は「なすの274号」へ乗り換えることができた。「はやぶさ17号」の後続列車である下り「やまびこ57号」は宇都宮~那須塩原間で停車した後、宇都宮駅まで退行運転を行った。
当該車両のE8系は宇都宮~那須塩原間て停車した後、検修係員の処置で自力走行が可能な状態となったため、単独編成で那須塩原駅まで運転されたとのこと。17時に全線で運転再開するまでの間、東北・山形・秋田新幹線の上下計86本が運休し、「約54,700人のお客さまにご迷惑をおかけしました」とJR東日本。「本事象により、お怪我をされたお客さまや体調を崩されたお客さまは確認されておりません」としている。
JR東日本は、今回の事象が発生した推定原因として、「補助電源装置が故障して主変換装置に電力が供給されなくなったため、主変換装置内にある冷却装置が動作せず、回路保護機能が作動しました。これにより、車両を動かすためのモーターを駆動することができず、走行不能に至りました。補助電源装置の故障原因の詳細については調査中です」と説明。当該車両に加え、小山駅に停車中だった上り「つばさ136号」(E8系)、郡山駅に停車中だった回送列車(E8系)、山形新幹線の福島~笹木野間を走行中だった下り「つばさ139号」(E8系)においても車両故障が発生していたとのことで、これらとの関連性についても調査するという。
E8系は山形新幹線「つばさ」の新型車両として2024年3月にデビュー。以降も追加投入を進めており、2026年春までにすべての「つばさ」をE8系に統一する予定と発表していた。今回の事象を受けて、JR東日本は今後の対応について、「原因が判明するまでの間、新幹線区間及び在来線区間においてE8系の単独運転を全て取りやめます。速やかかつ確実に原因究明を行い、必要な対策をとってまいります」と説明している。