現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で柳井嵩役を演じている北村匠海にインタビュー。6日放送の第50回から登場した八木信之介役の妻夫木聡との共演について話を聞いた。
112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。
嵩が所属した小倉連隊の上等兵・八木信之介役で妻夫木聡が登場
妻夫木演じる八木信之介は、嵩が所属した小倉連隊の上等兵。軍隊になじめない嵩を気にかけ、折にふれ助け舟を出す。そして戦後、嵩と思わぬ再会を果たし、のぶと嵩の人生に大きな影響を与えるという役どころだ。
北村は八木について、戦争パートにおけるのぶ的な存在だと捉えている。
「八木さんがいなかったら嵩は死んでいたと思います。軍隊というすごくルールも厳しい中で、あっちに行け、こっちに行けと、ずっと光を示してくれて。のぶの行く道はずっと輝いていて、その道を嵩が歩んできて、八木さんは手法は違うし照らし方も違うけれども、のぶ的存在かなと思います」
北村が小学4年生の時に出演した妻夫木主演の映画『ブタがいた教室』(2008)以来、17年ぶり2度目の共演。当時、北村の先生役を演じた妻夫木が、今回は戦争パートで嵩の面倒を見る“戦友”の立場に。北村は心強さを感じたという。
「『ブタがいた教室』では、生徒役の僕らは子供というリアルさが求められていて、台本が与えられていたというよりはほぼアドリブで。この映画も命を題材にしていて、僕の人生でも忘れられない作品なんですけど、今回『あんぱん』でまた妻夫木さんに出会うというところに運命を感じましたし、戦争パートで妻夫木さんが横にいてくれたのはすごくありがたかったです」
大人になって気づいた妻夫木聡の素顔「本当にチャーミングな人」
17年ぶりの共演で、妻夫木に関して新たな発見もあったという。
「妻夫木さんって大人になってから接してみるとよく話しかけてくれる方で、すごく楽しそうに生きていらっしゃるなと。当時は先生役だったので、よく怒られていましたし、役柄を超えて話してくれたこともたくさんあって、それが今でも自分の生きていく糧にもなっている中で、お酒を一緒に飲んでいても、本当にチャーミングな人だなと思って、ほっとしました」
最初から現場で妻夫木とコミュニケーションを取っていたわけではなく、「戦争中はあまり話せていない」と言い、終戦後、再会してからのシーンから話すようになったという。
「戦争というものが、そういう精神に全員をさせていました。全く『あんぱん』の空気ではなく、絶食する期間もありましたし、そういう中でやっていたので。戦争が終わって再会して以降は、僕も妻夫木さんもたくさん話します(笑)」
また、妻夫木が現場で子役と真剣に向き合い、「芝居とは」という話をしている姿を見て、17年前を思い出したという。北村も今回、子役に「もっと輝いてほしい」との思いで話したこともあるそうで、「当時の妻夫木さんと今の僕はほぼ同い年なんですけど、こういう感情になるんだなと思いました」としみじみと話していた。
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画デビュー。映画『君の膵臓をたべたい』(17)で注目を集める。近年の主な出演作は、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『明け方の若者たち』(21)、『スクロール』(23)、『法廷遊戯』(23)、『悪い夏』(25)、ドラマ『教場』(21、23)、『ナイト・ドクター』(21)、『名探偵ステイホームズ』(22)、『星降る夜に』(23)、『アンチヒーロー』(24)、Netflix『幽☆遊☆白書』(23)など。映画『愚か者の身分』が10月24日公開予定。
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