小泉今日子と中井貴一が主演を務めるフジテレビ系ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(毎週月曜21:00~ ※TVer、FODで配信)の第4話が、5日に放送された。
鎌倉の古民家へ越してきたテレビドラマプロデューサーの千秋(小泉)が、その隣家に住む市役所職員の和平(中井)と出会い、和平の家族とともに恋や友情を育んでいく大人のロマンチック&ホームコメディ。第3シーズンとなる今作は、還暦間近の千秋に定年を迎えた和平という、さらに円熟味を増した彼らの“今と未来”が丁寧に描かれていく。
今作は“何も起こらない”ことこそが特徴だったのだが、第4話は大小さまざまな“ドラマチック”なエピソードが随所に描かれ、これまで以上に濃密な回だった。
和平への“市長打診”のその後と、成瀬の“何か”の答え
まず、前回ラストからつながる和平への“市長打診”のその後が実にドラマチックだった。今作は大人のロマンチック&ホームコメディと謳(うた)っているため、和平が市長になるという展開は突飛にも思える。だからこそそれは“遊び”であり、次回への“引き”としての要素が強いのではないかと想像していた。
しかしこの“市長打診”と、第2話終盤での千秋との何げない会話…和平の原動力が“困り”であるというキーワードが重なる場面は、まるで伏線回収のようで実にドラマチックだった。また、その打診を受けるかどうかの返答を現市長(柴田理恵)の誕生日まで先延ばしにするという流れもしゃれていて、何より今後の和平がどうなっていくのかがより興味深くなり、連続ドラマとしての楽しみも増える要素となった。
次に、第1話から予感させていた千秋のかかりつけ医・成瀬(三浦友和)の“何か”の答えについて。これは成瀬の亡くなった妻が千秋にそっくりであるという、まるでおとぎ話のようなオチだったのだが、千秋の結婚しなかった人生…誰かに愛され添い遂げる人生を送ってこなかった、その表裏に成瀬の妻の存在しており、千秋がもし結婚を選んだ人生であっても、そうではない人生であっても、どちらも幸せが想像できるような余地があった。
この“何か”自体に大きなドラマチックさは感じられないのだが、千秋と成瀬の妻という表裏を想像をすることで、大きいドラマチックな要素が生まれる。その構造が見事であった。
真平と万理子の“迷いのその先”
もう一つは長倉家の双子、次男・真平(坂口憲二)と次女・万理子(内田有紀)の“迷いのその先”が描かれたことだ。千秋専属の脚本家である万理子は前回、自分が書きたいものは何か?を見つめ直すことで涙してしまうのだが、それは第2期でも描かれた「大きな世界に行かなくてもいいから千秋と一緒に仕事がしたい」という迷いの繰り返しになるのではと懸念していた。
だがその涙の理由は、千秋のためではなく、自分自身のために何かを書きたいという思いが芽生えてきており、知らず知らずのうちに“成長”していた…その混乱から涙が出てきてしまうという展開にはドラマチックな驚きがあった。
それに対して真平は、誰もが想像していた自身の病が悪化しているという安易な展開ではなく、自身の主治医が亡くなったことで、改めて自分の死を見つめるのが怖くなってしまったというもの。それを、いつもであれば楽しいはずの朝食の場面において思いをぶつけ合う“大人の家族会議”として魅せた場面が、実にドラマチックだった。
ドラマチックとはいえ、今作はそれをことさらに強調せず、狙っていないからこそ信頼できる。その他にも、和平の娘・えりな(白本彩奈)と謎の青年(西垣匠)にどんな進展があるのか。また典子(飯島直子)のグラビア撮影も次回以降具体的に動き出すようで、その物語もどのような描かれ方をするのか。そしてこれらにはどんなドラマチックな出来事が待っているのか、それらの塩梅も楽しみだ。