配信開始直後からSNS等でも反響を呼んでいるNetflix映画『新幹線大爆破』。原作へのオマージュや思わず見過ごしてしまいそうなポイントも多く存在するという。ゴールデンウィーク期間の連休中、見る前も見た後も楽しめる小ネタやトリビアの数々を紹介する。

  • Netflix映画『新幹線大爆破』の劇中、原作にも登場する指令所内のワイドな電光表示板、通称「屏風」を再現

JR東日本が異例の特別協力、演出アドバイスも

原作となった1975年公開の同名タイトルでは、当時の国鉄から協力を得られなかった。一方、Netflix映画『新幹線大爆破』では、「エンタメを通じて東日本を盛り上げたい」という制作陣の思いにJR東日本が共感し、異例の特別協力が実現している。

新幹線のアクシデントを回避するシーンにおいて、実際に働くJR東日本の担当者がシナリオを読み、演出面でアドバイスを提供したという。新幹線の座席やパネルに、訓練用に使われる実物のパーツを使用するなど、細部にまでリアルさを徹底している。

実際には撤去済みの電光表示板「屏風」を再現

一方で、あえてフィクションを取り入れた演出も。JR東日本では数年前に撤去されたという指令所内のワイドな電光表示板、通称「屏風」を登場させた。実際の総合指令所では、現在、各自のモニターに路線図が表示されるしくみになっているという。

  • 総括指令長・笠置(斎藤工さん)が双眼鏡で視認するシーン。原作へのオマージュが込められているという

樋口真嗣監督は、「映画としてどうしても総括指令長・笠置(斎藤工さん)が双眼鏡で“屏風”を視認する演出を入れたかった」と語り、劇中に「屏風」を再現した。このシーンは原作へのオマージュのひとつでもある。重厚感のある見た目ながら、電光表示の切替えには苦労があり、内部にスイッチを設け、スタッフがトランシーバーの指示に従って操作するというアナログなしかけで対応したとのこと。

撮影用に実際の新幹線を運行、上野~新青森間を計7往復

劇中に登場する新青森駅15時17分発の上り「はやぶさ60号」は、実際に臨時列車として運行されている。『新幹線大爆破』の撮影では、「はやぶさ」と同型のE5系を上野~新青森間で計7往復運転。早朝に上野駅を出て新青森駅まで行き、折り返して上野駅まで。12時間の長旅となった。鉄道ファンの樋口監督にとっても、この撮影は特別な体験だったようで、「朝が来るのが楽しみで、臨時列車から降りたくなかった」と語っている。

意外な著名人も『新幹線大爆破』に関わっていた

列車や家屋が巻き込まれる大爆破シーンはVFXと特撮を駆使して撮影。「はやぶさ60号」に仕掛けられた爆弾は庵野秀明氏がデザインを担当した。

  • 樋口監督渾身の大爆破シーンも登場

  • 新幹線に仕掛けられた爆弾は庵野秀明氏がデザイン

  • 国鉄で保線職員として勤務した経験を持つ田中要次さんも出演

  • 『新幹線大爆破』でキーパーソンを演じたピエール瀧さん

救出班の保線担当者・新庄を演じた田中要次さんは、国鉄で保線職員として勤務した経験を持つ。他にも意外な顔ぶれとして、「救出号」の運転士・福岡を尾上松也さん、車内アナウンスの声をゆりやんレトリィバァさん、「はやぶさ60号」と「救出号」を連結する作業員を白石和彌監督が演じた。ピエール瀧さんもキーパーソンとして出演している。

なお、原作となる同名タイトル、1975年に公開された東映映画『新幹線大爆破』は、1994年公開の映画『スピード』にも影響を与えたといわれている。