マイナビは4月22日、「マイナビ 正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」の結果を発表した。調査は、20~59歳の正社員3,000名(2024年11月15日~18日)および、企業の採用担当者815名(3月3日~6日)を対象にインターネットで行われた。
決められた仕事を淡々とこなす「静かな退職」
「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、やりがいやキャリアアップは求めずに、決められた仕事を淡々とこなすことを指し、近年この働き方が増え、注目されている
20~50代の正社員に「静かな退職」をしているか聞いたところ、44.5%が「している」と回答。年代別にみると、20代が最も多く46.7%、次いで50代(45.6%)、40代(44.3%)という結果に。いずれの年代でも4割を超えており、幅広い年代に「静かな退職」をしている人が存在することがわかった。
次に、「静かな退職」をしている人に、「静かな退職」で得られたものがあるかと質問したところ、57.4%が「ある」と回答。具体的には、「休日や労働時間、自分の時間への満足感」(23.0%)や「仕事量に対する給与額への満足感」(13.3%)など。
また、今後も「静かな退職」を続けたいかと聞くと、およそ3割が「働いている間はずっと静かな退職を続けたい」(29.7%)と回答。「できるだけ静かな退職を続けたい」(22.7%)や「どちらかといえば静かな退職を続けたい」(18.0%)も合わせると、「静かな退職を続けたい」と考えている人は7割を超える結果に。特に40代で最も多く73.5%。一方「静かな退職を続けたくない」人の割合は、20代が最多の35.4%だった。
「静かな退職」きっかけは?
続いて、「静かな退職」をするようになったきっかけを自由回答で聞き、回答をタイプ別に「不一致タイプ」「評価不満タイプ」「損得重視タイプ」「無関心タイプ」の4つに分類した。
その結果、A「不一致タイプ」では、「今の職場にはやりがいがある仕事がない」「上司と意見があわず、話しても無駄だから」といった声が。また、B「評価不満タイプ」では、「自分で仕事を行い、面談時にアピールしても評価されない」「結果を出しても給料は変わらない」といった不満があがった。
Cの「損得重視タイプ」では、金銭的な損得やコストパフォーマンスを考えて静かな退職をしている人が多く、具体的には「お金のために働いているのでそれに見合った仕事量はしている」「キャリアアップすると、プライベートの時間が確保できなくなるから」といった声が。D「無関心タイプ」では、もともとの価値観として「仕事にやりがいを求めていない」「キャリアアップすることに興味がない」という人が多いことがわかった。
次に、企業の中途採用担当者に「静かな退職」についての賛否を聞いたところ、「賛成」(38.9%)が「反対」(32.1%)を6.8pt上回った。
賛成が多かった業種は「IT・通信・インターネット」や「金融・保険、コンサルティング」で、「人それぞれだと思うので、キャリアアップを求めない働き方も考慮すべき」「そういった人材がいないとなりたたない業務もある」といった意見が。一方、反対が多かった業種は「不動産・建設・設備・住宅関連」や「流通・小売」で、「他の従業員に伝播する」「会社としては有益ではない」など、周囲への影響や会社への有益性を懸念する声が目立つ結果に。
個人の価値観を尊重し、「静かな退職」という働き方に理解を示す声はありつつも、業種や業務内容によっては企業側の賛否が分かれる結果となった。