熊本県とJR九州は、2020年7月の豪雨災害で被災し、不通となっている肥薩線八代~人吉間について、鉄道による復旧の最終合意書を取り交わしたと発表した。2024年4月に締結した基本合意書を踏まえ、復旧の具体的な実施内容や施設の譲渡方法などを定めた。
この最終合意書で、JR九州が今年度から八代~人吉間の鉄道復旧工事に着手することが明記された。工事は原則としてJR九州が実施し、災害復旧事業にかかる国の補助制度を最大限活用する。復旧後、熊本県が指定する第三種鉄道事業者に鉄道用地と施設を無償譲渡。同事業者が鉄道施設など保有・管理し、JR九州が列車を運行する「上下分離方式」が採用される。
復旧対象となる駅については、被災前の利用状況や将来の見通しを踏まえ、段駅、坂本駅、葉木駅、鎌瀬駅、吉尾駅、白石駅、球泉洞駅、一勝地駅、渡駅、西人吉駅、人吉駅の11駅とする。一方、瀬戸石駅、海路駅、那良口駅の3駅は廃止される。各駅の形状など、詳細については今後、協議の上で決定する。
肥薩線八代~人吉間の復旧費用は約235億円と見込まれており、その約9割を国と熊本県が負担する。運行再開の目標は2033年度頃とされた。なお、残る人吉~吉松間の復旧については今後、協議が別途行われる予定となっている。