ほかにも、23年10月下旬に、女性アナが入院中にベッドに横たわる自撮り写真と当時の心情を自身のInstagramにアップした際、会社側が様々な反応による病状への悪影響を懸念し、F氏から対外発信を控えるよう伝えることになった。そこでF氏は電話で、Instagramの発信の意図や思いを聞いた上で、業務復帰に向けて、病状の発信によるマイナスイメージの定着が心配である旨を伝えると、女性アナは泣いて、「私から社会とのつながりを奪うのか」などと訴えたという。
これを受け、F氏が主治医に別の医師を介して相談したところ、対外発信が病状に悪影響を与える可能性は低く、むしろプラス面があることが確認されたことから、対外発信を制限しないこととした。
女性アナと共演歴のある弁護士が中居氏の代理人になったことを事後に聞いて「私と守るものが違う」とショックを受けたというF氏。こうして様々な形で寄り添い続けたF氏に対し、女性アナからは退職にあたって感謝のメールが送付されている。また今回の調査の社員アンケートでは、F氏についての週刊誌報道の内容に「誤りである」「納得がいかない」という声が多数寄せられた。
報告書では「F氏や産業医らは、港社長らから意見を求められたこともなく、むしろフジテレビとしての全体的な方針も知らされないままに、最も困難な性暴力被害者の女性のケアの部分だけを丸投げされている。特にF氏は、自分とのやり取りの後、女性アナが自死してしまうかもしれないという、具体的な恐怖を抱きながらやり取りを担当していたものであり、F氏の心身への負担は計り知れない。専門性を持たないF氏に“女性である”という理由だけで、このような過重な負担を負わせたことは、フジテレビによるF氏の安全かつ健康な労働環境という人権の侵害と評価される可能性もある」と厳しく指摘している。
清水社長、名誉回復へ「できるものがあれば」
この内容を受け、フジテレビの清水賢治社長(フジ・メディア・ホールディングス次期社長)は「女性の気持ちが一番分かっていて窓口となっていたFさんにも、会社の姿勢が非常に負担をかけてしまったこと、結果誹謗中傷にもあっていることについて、非常に申し訳ないことをしたと思っています」と謝罪。
「今回の報告書を読んで、ホッとしたところは実はFさんに対してこのように認定していただいたというところで、良かったと思います」という清水社長。週刊誌報道に基づいたSNS等での誹謗中傷の続出も、「本人にはかなり精神的な負担となっています」と明かす。F氏については、一部で出社停止しているとの報道もあるが、番組出演を控えているものの、管理職としての職務は通常通り行っているという。
今後の彼女の名誉回復について質問すると、「Fさんの意向次第ではありますが、できるものがあれば考えていきたいと思っています」と前向き。現状は「F氏」と伏せられている名前を公表することについては、「第三者委員会が匿名を使って報告している以上、私たちがそれを飛び越えて匿名を変えるということはありません」と回答した。
マイナビニュースの取材によると、同局ではコンプライアンス推進室のX(Twitter)公式アカウントを2月4日に開設。これは、SNS上においてアナウンサーなどに誹謗中傷コメントが投稿・拡散されている状況を受け、SNSのプラットフォーム事業者に通報することを目的としている。