■花粉による皮膚のただれを予防する正しい洗顔法
吉木医師によれば、「ここ最近の猛暑のせいか、花粉の飛散が多く、花粉症だけでなく、皮膚のかぶれの症状を訴える患者さんも多くいらっしゃる」とのこと。ただこれは花粉のみならず、黄砂やPM2.5でも起こる可能性があり、「天気予報などでこまめにチェックするとよいでしょう」と警鐘を鳴らす。
「発症しないためにまず私たちができることは“保湿”。乾燥させないことが皮膚のバリア機能を保ちます。外出先はマスクや首などはスカーフなどをつけるとよいでしょう。また紫外線も刺激になるのでUV対策も必要です」(吉木医師)
ではその保湿や肌ケアについてどのようにすれば良いか。「花粉皮膚炎」に詳しい、保湿クリームなどを販売するユースキン製薬担当者に聞いたところ、「実は“花粉皮膚炎”は、マスクをしていても注意が必要なんです」と驚きの言葉が飛び出した。
「以前から敏感肌の方は季節の変わり目に肌の不調を訴える方が多かったのですが、コロナ以降はマスクの上の皮膚が赤くなる、痒いと訴える方が増えたという声が社内で上がりました。花粉がどのように顔に付着するのか調べるため、首から上の黒いトルソーにマスクをかけて、花粉に見立てたシッカロールをかけて実験したところ、マスクの上に花粉がたまりやすいことが確認されました」(ユースキン製薬担当者)
同社の実験の結果、マスクの上の隙間から花粉が入り、そこに密集。そのため他の箇所よりも花粉の密度が高くなることが判明した。そのため「衣服や髪の毛などについた花粉をよく払い落とすのはもちろん、顔に付着した花粉をできるだけ早く取り除くため、帰宅後すぐに洗顔することを習慣づけるのもおすすめします(ユースキン製薬担当)」と語る。
その洗顔法だが、「顔に付着した汚れや洗い残したクレンジング剤は肌を刺激するため、しっかり洗い流しましょう。洗顔料をしっかり泡立てて、泡で包み込むようにして肌に負担をかけないように洗うのがポイント」とのこと。具体的には以下の通りになる。
【洗顔の手順】
1.手をきれいに洗ってから、顔をぬるま湯で洗う
2.適量の洗顔料を濡らした手に取り、空気を含ませるようによく泡立てる
3. 額、鼻、あご、両頬に洗顔料をのせ、泡を転がすようなイメージでくるくると動かして洗う
※手でゴシゴシこすらないように、たっぷりの泡を使ってやさしく
4.ぬるま湯を使い、泡が残らないようにしっかり洗い流す
※直接シャワーを顔に当てるのではなく、手で水をすくいとって洗い流す
5.濡れた顔をタオルで押さえ、こすらないように水分を拭き取る
※タオルでゴシゴシとこすらない
■実は4人に3人が敏感肌?
ただ、洗顔後の肌はそのままにすると乾燥してしまうため、すぐに保湿ケアをする必要がある。ベタつきを気にして化粧水だけで済ませるのはNG。化粧水はあくまでも水分を補給することが目的で、そのままだとすぐにうるおいが逃げてしまうのだ。
化粧水の後は乳液やクリームでカバーして、しっかりうるおいを肌に閉じ込める。肌が敏感なときは、手のひらを使ってやさしく保湿ケアをするのがポイントだ。パッティングをすると肌を刺激して、乾燥や肌荒れを引き起こす原因になることがあり、コットンも繊維によっては肌を刺激してかゆみなどを引き起こすため、手を使うのが最良。乾燥しやすい部位を重点的に、手で押さえるようにしてなじませると良いという。
また保湿クリームについても、アレルギーや外部刺激などで敏感になってしまった肌を保湿する必要があるため、肌にやさしい低刺激のスキンケア用品を使用することが大切。ユースキン製薬が実施した「敏感肌に関する意識調査」によると、10代~70代のうち76%が自身を敏感肌と感じていることがわかった。つまり、4人に3人が敏感肌と感じているという結果だ。“保湿”の重要性がよりわかるといえよう。
「市販の薬を数日塗っても改善しない場合は皮膚科にいらしてください。痒みが強くて寝られない、日々かいてしまう場合はすぐに医師に相談してください。皮膚の場合は、外側からの刺激によるトラブルもありますが、内臓などの他の不調のサインもあるので気軽に相談にきてください。例えば痒みで眠りが浅いやイライラするなど、皮膚はメンタルとも直結するので早めに受診をされることをおすすめします」(吉木医師)