創立以来、レースシーンで数々の輝かしい成功を収めてきたヤマハ発動機。創立70周年のメモリアルイヤーとなる2025年はどんな体制でレースに挑むのか。都内で開催された「ヤマハ モータースポーツ メディア プレスカンファレンス」で確認してきた。
創業後すぐにレース活動を始めたヤマハ
1955年7月1日の設立からわずか9日後の7月10日に「第3回富士登山レース」に参戦して以来、国内外のモータースポーツで実績を積み重ねてきたヤマハ発動機。そんなレースへの挑戦の歴史をモーターサイクル車両開発本部 MS統括部長の竹田祐一さんは「ヤマハ発動機グループの歩みそのもの」と表現し、「モータースポーツ活動から生まれたチャレンジスピリットは私たちのDNAとして深く根付いている」と話す。
続けて竹田さんは、世界最高峰のモーターサイクルレース「MotoGP世界選手権」に向けた体制についても言及。今年は「モンスターエナジー・ヤマハMotoGP」に加え、「プリマ・プラマック・ヤマハ・ファクトリー・レーシング」をセカンドファクトリーチームとする2022年以来の2チーム4台体制で挑むと発表し、「(2チーム4台体制によって) MotoGPマシン『YZR-M1』開発の速度と質を高め、再び世界の頂点を目指す」と力強く宣言した。
国内3カテゴリーにファクトリー体制で参戦
国内レースカテゴリーへの参戦体制を発表したのは、モーターサイクル車両開発本部 MS統括部 MS戦略部長の小野哲さんだ。
そのなかでもビッグニュースといえるのが、「FIM世界耐久ロードレース選手権」(EWC)の第3戦「鈴鹿8時間耐久ロードレース」(8月1日~3日)へのファクトリーチームの参戦発表だ。ファクトリーチームの鈴鹿8耐参戦は、暫定優勝から一転して2位に降格となり5連覇を逃した2019年以来6年ぶりのこと。
監督は2015年~2018年に鈴鹿8耐4連覇を達成した吉川和多留さん、ライダーは現在のところ中須賀克行選手のみが決定している。
8月のレースに向けた詳しい情報については今後順次発表していくそうだが、小野さんは「全日本ロードレースで活躍する中須賀克行選手とともに、世界で活躍するトップライダーをラインアップし、70周年のメモリアルシリーズを祝うにふさわしい強力かつ豪華な体制でファクトリー参戦すべく準備を進めてまいります。ぜひご期待ください」と話していた。
なお、中須賀選手は参戦予定の「全日本ロードレース選手権」の最高峰クラス「JSB1000」についても「(個人としては)まずはチャンピオンに返り咲くことが第1の目標です。昨年は自分が若手に負けてしまった形ですが、ヤマハはチャンピオンを取り続けているので、新しいウイングレットが付いた2025年型のR-1とともに、1戦1戦しっかり取り組んで頑張りたい」と意気込みを語っている。
その他のレース活動は?
モトクロスでは、「全日本モトクロス選手権」のIA1にジェイ・ウィルソン選手が「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から「YZ450FM」で参戦。新設の「Yamaha R3 bLU cRU RACING TEAM」もセカンドファクトリーチームとして加わり、IA1に大城魁之輔選手と渡辺祐介選手が「YZ450FM」、IA2に中島漱也選手と田中淳也選手が「YZ250F」でそれぞれ参戦する。
「全日本トライアル選手権」にはIAスーパーに「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の黒山健一選手と氏川政哉選手が参戦。過去2年間の参戦を通じて収集した技術・知見を盛り込んで開発した最新型の電動トライアルバイク「TY-E 3.0」を駆使して優勝を狙う。また、「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の野崎史高選手も熟成を重ねた「TY-E 2.2」で参戦する予定だ。
最後に小野さんは、「日本のレースシーンを戦うファクトリーマシンの車体には、チームの強い意志と決意を表現する象徴として、日の丸をモチーフとしたデザインが組み込まれています。70周年を迎えるヤマハのレース活動にぜひご期待ください」と締めくくった。