第一三共ヘルスケアは、働く女性のがん患者さんを対象とした「肌ケアセミナー」を2月2日に東京・日本橋で開催し、30名近くのがんの罹患者や経験者たちが参加した。

女性のがん罹患者数は特に現役世代である30・40代において男性よりも多く、仕事と治療の両立が課題となっている。そうした中、がん治療によって皮膚障害が生じるなど、肌の悩みを抱える人は少なくない。同セミナーでは、がん治療中に起こりやすい皮膚症状や、肌のマッサージ方法などを実演しながら紹介し、日々の生活の中で取り入れたい肌ケアを紹介した。

◼セルフケア領域でがん患者さんの生活の質(QOL)向上に貢献する

第一三共ヘルスケア 広報部 上吉川 奈央から本セミナーの趣旨と想いについて語った。「2人に1人ががんになる今日、特に、治療と仕事の両立が課題となる30・40代では、男性よりも女性でがん罹患者数が多い」と、ミドル世代におけるがん罹患の実態を伝えた。また治療に伴う肌トラブルの影響として「がん患者さんの身体的不快感だけではなく、日常生活への不安やストレスにつながる可能性がある」と述べた。

同社の調査結果から、「適切な肌ケアを実践している患者の多くが、心理面でもポジティブな変化を感じていることが明らかとなりましたが、具体的なケア方法がわからないという課題も浮き彫りになりました」と説明。この課題に対応するため、第一三共ヘルスケアでは適切な肌ケアの方法を広めることを目的としたセミナーを開催しており、「セルフケア領域でがん患者さんの生活の質(QOL)向上に貢献し、がん患者さんの生活に明るい光をもたらしたい」と想いを伝えた。

抗がん剤治療中から取り入れたいスキンケアについて

看護師の東島愛美氏から「がん治療中に日常から取り入れたいスキンケアについて」講義を行った。皮膚の構造や抗がん剤治療による肌への影響として「抗がん剤で基底層がダメージを受けると、肌の新陳代謝が悪化して肌が乾燥しやすくなります」と説明。スキンケアの方法として「弱酸性、アルコールフリー、泡タイプなどの低刺激な洗浄料で『なで洗い』をして肌の清潔を保ちましょう」と肌に対する摩擦を少なくするなど、肌刺激を与えないようにケアをし、肌を清潔に保つことの重要性を伝えた。

また、保湿剤で肌のバリア機能を考えたケアを日中や就寝前などこまめに続けることが重要と説明。最後に皮膚保護の観点から「一年を通した紫外線対策によって肌のバリア機能をサポートし、しみやシワの原因を防ぎましょう」とバリア機能が低下しがちな敏感肌向けの紫外線対策を促した。肌ケアで重要な「保清・保湿・保護」の3つのポイントをセミナー参加者にアドバイスを行った。

◼治療で頑張った自分をねぎらって、心地よい時間を過ごしてほしい

アピアランス・サポート東京 アピアランス・サポート相談室 室長 村橋紀有子氏による「肌ケア体験講座」が行われた。はじめに「がんの治療中は抗がん剤の副作用で肌のくすみ、痒みなど『お医者さんに相談するほどでもないけど、どうすればよいのか』と悩んでいる患者さんはとても多いです」と肌の悩みが患者さんからあがることを紹介。「日常的に肌ケアを取り入れることで肌の状態を健やかに保つことができます。こまめなケアが肌を守るカギとなります」と伝えた。

講義の最後には「『肌ケア』は外見を整えることにとどまらず、自己肯定感の向上につながります。自分自身を癒やし、心に安らぎを与える貴重な時間です」「治療で頑張った自分をねぎらって、少しでも穏やかで心地よい時間を『肌ケア』を通して過ごしていただきたいと思います」と生活の質(QOL)向上のカギとなるがん治療中の肌ケアの重要性を村橋氏の想いとともに語った。

そして、医学的知見に基づいた手順で静脈とリンパの流れを促し、顔や手足の浮腫を改善する“巡活マッサージ”のやり方を詳しく説明。マッサージをするときは「ベタベタするのを気にせず、乳液をたっぷり使用してください。肌に摩擦を起こさないように力を入れすぎず優しく流しましょう」と手の動かし方などをレクチャーした。

■「自分を大切にする時間をもって、鏡を見る時間が楽しくなりそうで嬉しい」

セミナー終了後に参加者からの感想として、「がん治療で顔が暗くなり、むくんでパンパンになっていた顔を自分の手でメンテナンスする方法を教えてもらえた」や「肌の基本的なことを改めて知ることができた」「全てとても楽しく、肌を大切にしようと思った」などといったコメントが寄せられた。そのほかにも、「自分を大切にする時間をもって、鏡を見る時間が楽しくなりそうで嬉しい」や「初めて参加したが、家庭的なセミナーで皆さんも病気を克服され元気で活躍しているところを見ると勇気をもらえる」と未来への自分に前向きになれたような声があがっていた。