いちいち聞かないと仕事を教えてくれない上司や先輩に悩まされている人も多いでしょう。本記事では、このようなタイプの人がなぜ仕事を教えてくれないのか、その理由を解説したうえで対処法についても紹介します。
いちいち聞かないと仕事を教えてくれない理由
仕事を教えてもらえないことに困るのは、本人だけではありません。企業にとっても、新しい人材に早く戦力になってもらうには適切な指導が重要です。それにもかかわらず、「いちいち聞かないと教えてもらえない」状況が生まれるのはなぜなのでしょうか。ここでは、その理由を解説していきます。
自分で学ぶべきと考えている
上司や先輩の中には、「仕事は自分で学ぶもの」という価値観を持つ人がいます。この場合、自身も同じように上司や先輩から教えてもらえなかった可能性が高く、「自分もそうやって学んできたのだから、新人も同じように自分で学ぶべき」と考えている人が多いでしょう。
忙しくて手が回らない
職場の状況によっては、単純に上司や先輩が忙しくて、部下や後輩の指導に十分な時間を割けないこともあります。特に、少人数で業務を回している職場や、繁忙期に入っている部署では、指導する余裕がないまま新人が放置されてしまうケースも少なくありません。
教えるのが苦手な性格
すべての上司や先輩が指導力に長けているわけではありません。「仕事はできるけど、人に教えるのは苦手」という人も多くいます。このタイプの人は、「どう説明すればいいかわからない」「自分でやったほうが早い」と感じることが多く、新人や部下に対して積極的に教えようとしません。
成長してほしいと思っている
「自分で考える力をつけて成長してほしい」という思いから、あえて自分からは教えない人もいます。もちろんこの方法で成長する人もいますが、やり方が間違っていたり、部下や後輩がその指導スタイルに向かないタイプだった場合は、ただ不満が溜まってしまうだけになるでしょう。
やる気を試している
一部の上司や先輩は、部下や後輩の「やる気」を見極めるために、あえて教えないことがあります。「本当にやる気があるのなら、自分から質問してくるはずだ」「主体的に学ぼうとしない人には、教える価値がない」などと考えているのです。
嫌がらせとしてやっている
部下や後輩を一方的に嫌っていて、嫌がらせとして仕事を教えないという人もいます。上司や先輩としてあるまじき行為ですが、実際にこういった人は一定数存在するのです。このタイプは、部下に嫉妬しているケースが少なくありません。
仕事を教えてもらえない状態が続くとどうなる?
「いちいち聞かないと仕事を教えてもらえない」という状況が長く続くと、どうなるのでしょうか。ここでは、考えられる悪影響を解説していきます。
ミスが増えて成長が遅れる
適切な指導が受けられないと、仕事の流れやルールを十分に理解できないまま業務を進めることになります。業務の進め方が曖昧なまま作業をすれば、当然ミスを連発するリスクが高まるでしょう。こうして失敗が続くと自信を失くし、やがて「どうせなにをやってもダメだ」と諦める気持ちが芽生えてしまうこともあります。こうなってしまうと人はなかなか成長できません。
職場の人間関係が悪化する
業務でミスをすると、他の部署にも迷惑をかけてしまうことがあるでしょう。迷惑をかけられた側は、ミスの原因が上司や先輩がきちんと教えていないことであるとわかると不満に思うものです。そのことが原因で職場の雰囲気が悪くなり、人間関係が悪化する場合もあります。
モチベーションが下がる
仕事を教えてもらえず、何をどうすればいいのかわからないまま時間が経つと、「自分はこの仕事に向いていないのでは?」という不安に襲われることがあります。社会人としての経験が浅い新人の場合、「誰も教えてくれない=自分が期待されていない」と感じてしまうこともあるでしょう。このような状況では仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。
職場の生産性が低下する
仕事を教えてもらえない状況は本人の成長を妨げるだけでなく、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼします。特に、チームで仕事を進める場合は、新人のミスをフォローするためにほかのメンバーの時間が取られ、全体のスケジュールに影響が出ることも少なくありません。結果的に、1人だけでの問題ではなく、組織全体の問題になってしまうのです。
いちいち聞かないと仕事を教えてくれない上司・先輩への対処法
仕事を教えてくれない上司や先輩に対して、ただ不満を抱いているだけでは状況は改善されません。ではどのようにすればいいのでしょうか。ここでは、対処法について紹介していきます。
教えてもらえない前提で主体的に動く
「誰かが教えてくれるのを待つ」のではなく、「自分から動く」という意識を持つことが大切です。職場によっては、最初から丁寧な研修がないことも珍しくありません。その場合、指示がなくても自分でできることを探したり、過去の資料を見たりしながら仕事の流れを理解しようとする姿勢が求められます。
また、何をどうすればいいかわからない場合でも、とりあえず行動に移してみることが大切です。何もせずにいるよりも、「ここまでやってみたのですが、合っていますか?」と確認したほうが、教えてもらえる確率は高くなります。特に、忙しい上司や先輩なのであれば、受け身の姿勢よりも「自分で動いてみる」ことを意識してみましょう。
質問の仕方を工夫する
質問の仕方によっては、相手が答えにくくなり、結果的に有益な情報が得られないことがあります。たとえば、「どうすればいいですか?」と漠然と聞くのではなく、「〇〇と△△のどちらの方法がよいでしょうか?」と具体的に尋ねるほうが、相手も答えやすいでしょう。
また、質問するタイミングも重要です。忙しそうにしているときに話しかけると、「今それどころじゃない」と冷たくあしらわれることもあります。そのため、「お時間あるときに少し教えていただけますか?」と、相手の都合を考慮しながら質問することがポイントです。
マニュアルや過去の資料を活用する
職場によっては、業務マニュアルや過去の資料が存在する場合があります。これらを活用することで、基本的な知識を身につけることができるかもしれません。
また、先輩や上司が忙しくて聞けない場合は、社内の共有フォルダや過去のメールを確認して、自分で情報を探すことも大切です。「調べたうえでわからなかった部分を質問する」ことで、相手にとっても負担が減り、スムーズに教えてもらいやすくなります。
信頼できる別の人に相談する
仕事を教えてくれない上司や先輩がいる場合でも、職場にはほかに頼れる人がいることもあります。困っていることを同僚や他の先輩に相談してみるのもひとつの方法です。
もし、以前その上司や先輩の下で働いたことがある人がいれば、最適な解決方法を教えてもらえるかもしれません。ただし、人選びを間違えると、上司や先輩に変に話が伝わり、誤解されてしまう可能性もあるので注意しましょう。
また、嫌がらせで教えてくれないと感じるのであれば、パワハラにあたる可能性があるので、人事部や社内の相談窓口などへの連絡も検討しましょう。
意欲的な姿勢を見せて関係を築く
仕事を教えてくれない上司や先輩の中には、「この人はやる気がある」と感じると、徐々に関わり方を変える人もいます。信頼関係が築ければ、少しずつ指導を受けやすくなることもあるため、積極的に学ぶ姿勢を見せることが大切です。
たとえば、「この部分をもっと上手く進めたいのですが、コツはありますか」といったように、ただ仕事をこなすだけではなく、一歩先のレベルを目指す姿勢を見せるといいでしょう。また、教えてもらったら必ず感謝を伝えたうえで、「早速教えていただいたやり方でやってみたら、上手くいきました」と、実践した結果を報告すると、より好印象です。
まとめ
仕事を教えてくれない上司や先輩に対しては、「どうすればこの状況を乗り越えられるか」を考えることが重要です。考えたうえで、こちらから主体的に動きましょう。待っているだけでは何も変わりません。ただし、明らかに悪意が感じられたり、あまりも理不尽だったりする場合は、人事部や社内の相談窓口に報告することも考えましょう。