ドミノ・ピザ ジャパンは2月21日、グローバルで進めているチャリティー活動「Domino’s for Good(ドミノ・フォー・グッド)デー」を実施。2月21日の売上の一部を、子ども・若者のメンタルヘルスケア支援を行う団体に寄付するチャリティー・デーの開催に伴い、2月20日に発表会を開催した。
本発表会には元厚生労働事務次官で「一般社団法人若草プロジェクト」代表呼びかけ人の村木厚子さんら、寄付先の3団体の代表者が登壇。子どもや若者を取り巻くメンタルヘルスの現状や課題について語った。
■ピザを通じて子ども・若者に寄り添う
「Domino’s For Goodデー」は、世界中のドミノピザが一丸となって社会貢献に取り組むチャリティー・デー。「ワ―ルド・ピザ・デー」(2月9日)がある2月に実施を決め、2022年よりオーストラリアとニュージーランドで始まった。日本では2023年に初実施され、53万6,550円を寄付。昨年は108万9,111円を按分して3団体に寄付した。
3回目となる本年は、昨年に続き、子ども・若者のメンタルヘルス支援が世界共通テーマに。日本全国のドミノ・ピザは2月21日の売上の一部(ピザ1枚につき10円、お好きなサイドメニュー2品で700円1セットにつき10円)を、子ども・若者のメンタルヘルスケア支援を行う3団体に寄付する。
日本では、20代の死因のうち約50%が自殺であり、そのうち6~9割の若者が何かしらのメンタルヘルスの不調を抱えていると言われている。
ドミノ・ピザで働くクルーは、全体の約90%以上が10~20代で、若者を多く雇用する企業として、地域社会における子ども・若者のメンタル支援が急務と考えているという。
本会の冒頭、ドミノ・ピザ ジャパン執行役員の佐々木慎氏は、「『Domino’s For Goodデー』は、ピザを通して若者のメンタルヘルスを支援していく活動の一環として企画されているチャリティーイベントです。我々の従業員さんからも、本取り組みに対して多く賛同の声をいただいており、今後もこの活動へのご理解と、支援の輪を多くの人へ広げていきたいと思っております」と挨拶した。
「Domino’s For Goodデー」の取り組みについて、ドミノ・ピザ ジャパン執行役員の松原歩氏は次のように説明した。
「ドミノ・ピザ ジャパンでは、ドミノ・ピザ エンタープライズが立ち上げた『Minds&Meals –Youth Mental Health & Disaster Relief–(マインド&ミールズ -子ども・若者のメンタルヘルスと災害支援-)』に2023年から参加を始めました。メンタルヘルス支援の『Minds』と農業・水産業支援の『Meals』の2本のプログラムで活動しており、今回の『Domino’s For Goodデー』は『Minds』に関する取り組みとなります。
若者や女性のクルーが力を存分に発揮できる職場を実現し、同年代の若者が社会の課題に気付き、支えとなる。この取り組みがそのきっかけづくりとなり、困難を抱えた若者の生きづらさを支える一助になればと考えています」
■「厳しい状況にある若者にとって、ピザは特別な食べ物」
「Domino’s For Goodデー」の寄付先は、「一般社団法人若草プロジェクト」「特定非営利活動法人Light Ring.」「首都圏若者サポートネットワーク」の3団体。
「若草プロジェクト」の村木厚子氏は、クリスマスに全国の子ども支援関連団体1,000団体へピザをプレゼントする『無料ピザで地域支援』の取り組みなども踏まえ、ドミノ・ピザの支援へ感謝を述べた。
「厳しい状況にある子どもにとって、ピザはとても大切な食べ物です。どのピザを食べるか自分が選んだことが実現する体験や、誰かと繋がりを持って分け合いながら食べる経験は特別なもので、ドミノ・ピザさんに応援をしていただき、たいへん感謝しています」
「若草プロジェクト」ではメディカルサポートケア基金を2020年に立ち上げ、この3月にも支援の現場と支援をしたい企業の思いを繋げるプラットフォームを立ち上げる予定だという。
「医療的な精神ケアが必要な若者が非常に多く、その実態調査などを行う必要性を我々も感じています。『Domino’s For Goodデー』のご支援を活用しながら、現在、若者のメンタルヘルスケアに関する調査しているところです」
続いて登壇したのは、「Light Ring.」の事業部担当・高橋洸太氏。2010年に立ち上げられた同団体は、現在41名の職員とボランティアスタッフで構成されており、希死念慮を持つ若者からの相談を受ける家族・友人・同僚といった“支え手”を支援している。
「39歳以下の死因で自殺は圧倒的1位となっており、その防止において、うつ病などのメンタルヘルスの支援は不可欠な要素のひとつです。特に若年層で希死念慮を持つ当事者は、同僚・友人に相談するケースが多く、そうした相談を受け止める若い方々もバーンアウトしてしまうといったことが少なくありません。そのため、我々は当事者を支援している人を支援する団体となっています」
同団体では“ゲートキーパー”と呼ぶ支え手の養成事業を展開。具体的な傾聴の仕方やセルフケアの方法などを伝えているほか、支え手同士で悩みなどを共有するプログラムや、オンラインコミュニティ事業も行っている。
「Domino’s For Goodデー」の寄付金はSNSなどウェブ上での広告展開など、各事業の周知のために活用されているという。
最後に登壇したのは「首都圏若者サポートネットワーク」事務局長・池本修悟氏。2017年に設立された同団体は、社会的養護の施設などを巣立った若者を支援する団体などに助成金を出す活動、対象となる若者の就労支援や必要な支援制度の政策提言を行っている。
「児童養護施設や社会的養護の支援を受け、そこを巣立った18歳を過ぎた若者たちの中には社会的に孤立し、苦しい生活を送っている若者も多くいます。我々はそうした若者を手弁当で支えている人たちが安心して活動できる仕組みや、必要な支援制度についての議論をこれまで進めてきました」
2024年は2,000万円を超える助成金のための基金の中で「Domino’s For Goodデー」の寄付金を活用したという。
「2022年に児童福祉法が改正され、2024年4月からは18歳を過ぎた方も、あるいは社会的養護の支援を受けてこなかった若者も、支援を受けられる制度に変わりました。ただ、自治体ごとに運用面での課題はまだまだ多くあります。『Domino’s For Goodデー』を機に多くの人に関心を持ってもらうための情報発信を行いながら、一緒に活動を盛り上げていけたらなと思います」