ドジャース、データから見る2025年の成績予想は!? 開幕スタメン・個人…

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 開幕まで1ヶ月を切ったメジャーリーグ。ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、東京ドームで行われる開幕戦で山本由伸、佐々木朗希の起用を示唆しており、期待感が一層高まっている。そこで今回は、米分析サイトで使用されている予想システムを基に、ドジャース各選手の成績、スタメンなどを概観していきたい。(文:Eli)

 

今シーズンのメジャーリーグは

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 先日、米分析サイト『Baseball Prospectus』が毎年発表する機械的順位予想である『PECOTA Projection』が公開された。選手の過去データを用いてシーズンの成績を予測、これを積み上げたものがチームの順位予測となる。

 

 ロサンゼルス・ドジャースはその中において100勝以上、勝率6割以上を算出した唯一のチームであり、プレーオフ出場確率は驚異の99.4%、ワールドシリーズ優勝確率は20.3%となっている。

 

 また、アリゾナ・ダイアモンドバックス、サンティエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツとコンテンダーがドジャースの他に3チーム揃い、激戦区と化しているNL西地区において、地区優勝確率95.4%を叩き出している。ひとえに積極的な補強戦略の賜物と言えるだろう。

 

 例年通りNL内でのライバルは強力打線を擁するアトランタ・ブレーブスだが、ダークホースと言えるのがニューヨーク・メッツだろう。昨季は89勝でワイルドカード経由でのNLCS進出を果たしたが、ドジャースに敗退。同年オフには大富豪スティーブ・コーエンの号令の下、フアン・ソトの獲得を筆頭にFAでの戦力整備に動いた。

 

 成績予測には今年から登場した『OOPSY Projection』を用いる。米分析サイト『Fangraphs』のJordan Rosenblumによって開発されたこのシステムは従来の予測システムと同様に年齢曲線やリーグ環境、過去の成績などを総合的に考慮する。

 

 『OOPSY』の利点は新しい指標を積極的に取り入れていることで、打者では2024年に公開開始されたバットスピード、投手では球質を評価するStuff+を項目に入れている。他の予測システムと比べてより選手の正確な能力をカバーしていると言える。

ドジャース野手陣の成績予測

 

 昨季は30球団トップのwRC+、fWARを記録した強力ドジャース打線だが、今季もそれは健在のようだ。大谷翔平の予測打者全体2位となるwRC+171に加え、TOP3を形成するMVPトリオは全員wRC+130以上が予測されている。

 

 130以上打者を3人抱えるのは他にアクーニャ、ライリー、オズーナを擁するブレーブスだけである。他にも昨年は下位打線の大スランプに悩まされたが、コンフォートとエドマンという実績ある打者の加入によりその可能性は低くなったと言える。

 

 キム、アウトマンとの競争結果による出場機会にも左右されるが、昨季新人として116試合に出場し13HR、wRC+100の成績を残したパヘスは更なる飛躍が期待される。特に昨季wRC+157と、好相性にしていた対左投手での起用が予想される。

 

ドジャース先発陣の成績予測

 

 もはや”故障しなければ”という文言が全員に当てはまるようになってしまったドジャース先発陣だが、故障は予測できないのでここでは横に置いておく。

 

 成績予測上はサイ・ヤング賞に値する投手はいない。これは6人ローテ採用によりイニング数が他投手より減少するというのもあるだろう。

 

 一方で全体としては非常に強力で、先発投手にfWAR3.0以上が3人(スネル、山本、グラスノー)いるのはドジャースの他にはフィラデルフィア・フィリーズ(フィリーズ、ノラ、サンチェス)だけである。

 

 また、TJ手術により1年以上ブランクがある投手大谷であるが、防御率3.15(10位)、K-BB%(8位)と予測されているのはさすがである。

 

 ダークホースとなりそうなのはTJ手術から復帰するゴンソリンだ。2022年は130.1回を投げ、防御率2.14と結果を残しキャリア初のオールスターにも選ばれた実績がある。怪我の多いメイや、その他若手と比べるとローテ6枚目としては最も信用できる存在だ。

 

 

ドジャースブルペン陣の成績予測

 これは毎年のことであるが、ドジャースブルペンは数で勝負だ。オークランド・アスレチックスのメイソン・ミラーやメッツのエドウィン・ディアスのような圧倒的クローザーは固定しないとされている。

 

 それでも、ブルペンの上位6人全員がK%25.0以上を予測されている。接戦時のブルペンオプションに事欠くことは無いだろう。

 

 スプリングトレーニングではフィリップスとコペックの調整遅れが報道されているが、マイナーから最速103マイル(約165キロ)右腕のヘンリケス、3000rpm(回転数)のスライダーを投げるカスパリウスが共に昨季末にデビューを果たしており、良い登板機会となるだろう。

 

 ロースター外招待選手では元STLのジオバニー・ガエゴスと元LAAのルイス・ガルシアがいるが、実績的に開幕時点でメジャー登録しない場合、オプトアウトを行使し他球団に移籍する可能性が高い。

新加入組の成績予測

 

キム・へソン

 KBOから加入したキム・へソン。強みは三振しないコンタクト能力と内野守備能力とされている。予測システムの見解は大きく分かれている。これはそもそも予測の根拠となるデータがすべてKBOのモノであることが大きく影響していると見られる。

 

 米予測システム『ZiPS』と『OOPSY』はMLBでは全く通用せず、K%も平均より悪く長打も出ない。完全な守備要員になってしまうと見ている。対照的に『Steamer』、『ATC』、『BAT X』は前評判通りのヒットツールがメジャーでも通用し、平均程度の打者にはなれると予測している。

 

 ドジャースの打撃コーチ陣はキムの映像を見てコンタクト力を維持したまま、強い打球を打てる改造ができると踏んでいるようだ。

 

 キムが置き換えることとなったラックスを打撃・守備を総合的に同じかそれ以上の活躍ができれば成功と言えるだろう。

 

 またラックス放出前の方針であった守備位置をユーティリティーとする点についても、エドマンのように外野もできるようにするのか、内野専門にするのかにも注目だ。

 

 テイラー、キケのチームを支えたユーティリティープレイヤーが来年はFAとなることもファクターになりそうだ。

 

 

佐々木朗希

 佐々木朗希の予測も海外リーグからの加入のため、各システムで違いが激しい。最も楽観的に見ているのは『Steamer』でK-BB%23.9は2024年換算でメジャー4位(フラハティ―(DET/LAD): 24.0, ギルバート(SEA): 22.8)、fWAR 3.4は17位(フェディー(CHW/STL)、フリード(ATL): 3.4)に位置する。

 

 イニング数は140イニング程度にとどまるが、内容が良いため価値を生みだせると見ているようだ。一方で最も悲観的なのが『ZiPS』で、K-BB%が11.7、fWAR0.7は期待値から考えれば大失敗の契約となってしまう。

 

 佐々木の欠点として指摘されているのがスピン量の少なさである。このため、フォーシームのノビが出づらい、スライダーはそれほど曲がらないなどの問題が生じている。

 

 この問題を球速とスピン量の必要がないスプリットで補うのが佐々木の投球スタイルだが、100マイル(約160キロ)の剛速球に見慣れているメジャーの打者を対策するには、シンカーやカーブなどの習得が必要となるかもしれない。

 

 

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【了】