JR東海は20日、超電導リニアのL0系改良型試験車をさらにブラッシュアップし、環境負荷低減等に関する開発成果を反映した新しいL0系改良型試験車である中間車1両(M10)の製作について発表した。2025年夏の走行開始を予定している。

  • エクステリアデザイン(提供 : JR東海)

同社はリニア中央新幹線の開業に向け、山梨リニア実験線で2013年からL0系、2020年からL0系改良型試験車による走行試験を実施してきた。現在、新しいL0系改良型試験車である中間車1両(M10)の製作を進めており、山梨リニア実験線へ投入するめどが立ったとのこと。

新たに投入する中間車は、車体表面にサメの肌を模倣した微細な溝構造のリブレットフィルムを適用。台車周りの形状最適化により、空気抵抗を約1%削減(16両換算)するなど、消費電力の低減を図ったという。リブレットフィルムに関して、2024年8月から山梨リニア実験線の現行車両に適用して走行試験を行っており、今回が新製車両への初適用となる。

また、冷凍機で液化したヘリウムにより磁石を冷却する必要がある従来の超電導磁石(マイナス269度まで冷却)と異なり、液体ヘリウムが不要で磁石内配管不要による構造簡素化も可能な高温超電導磁石(マイナス255度まで冷却)専用の車両設計とし、車両機器構成を最適化することで、低コスト化を図っている。

  • インテリアデザイン(提供 : JR東海)

エクステリアは無塗装のシルバーのボディとし、高速に流れる光をイメージしたゴールドのラインを配した未来感のあるデザインに。インテリアは白色の客室空間に落ち着いた色味の腰掛を配置し、シンプルかつ洗練されたデザインとしている。

新たに製作する中間車は1両で、設計は日立製作所・日本車輌製造、製作は日立製作所。走行試験は既存のL0系改良型試験車・L0系車両と組み合わせて実施する予定とのこと。