JR東日本は、山形新幹線(福島~新庄間)および秋田新幹線(盛岡~秋田間)を走行する在来線車両に搭載したATS-P車上装置に設計の誤りがあったと発表した。曲線で制限速度を超えた際、ATS-Pがブレーキを作動させる速度を本来の設計値より5~15km/h高く設定していたことが判明したという。

  • 山形新幹線の在来線区間で使用される719系5000番代

ATS-P装置の不具合は、2009~2010年にかけて曲線や分岐器への速度超過防止対策として車上装置を改修した際に発生したもので、地上子から送信される情報の一部を誤って照査速度の演算に使用したことが原因だったと説明。この結果、乗務員が誤って制限速度を超えて曲線に進入した場合でも、本来の設計で想定していた速度でブレーキが作動しない可能性があった。ただし、2009年から現時点まで、該当区間で速度超過は発生しておらず、照査速度が情報に設定されていた場合でも、脱線のおそれがある速度に達することはないと確認されている。

該当する車両は701系5000番代(10編成)・5500番代(9編成)と719系5000番代(12編成)の計31編成。山形・秋田新幹線区間に設置されるATS-P地上子から送信される制御情報は、首都圏などの在来線に設置されるATS-P地上子の制御情報と一部内容が異なっているが、これらの車両についてはATS-P車上装置の改修時に、当該区間では本来不要な制御情報を首都圏などと同様に参照するように設計されてしまい、照査速度が上方に修正されていた。

  • 秋田新幹線の在来線区間で使用される701系5000番代

JR東日本は、該当車両のATS-P車上装置のソフトウェアを速やかに修正するとともに、山形・秋田新幹線区間専用の試験仕様書を制定し、他区間の制御情報が誤って適用されないようにするなどの再発防止策を講じるとしている。