まひろと道長のソウルメイト的な関係性に最後まで入ることができなかったという見方もできる倫子。一方で「なんだかんだで倫子は人生を全うしている」と倫子の人生は悲劇ではないという黒木。
「『好きだ』と言っていた道長さんを手に入れ、権力者にし、子供もたくさんつくり、妻としての役割を果たした。自分の孫が帝にもなりました。客観的に見て成功者ですよね。ただ一番愛してほしかった人、手に入れたいものは叶わなかった。そこをどう捉えるかだと思います」。
道長役の柄本とは、映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』でも共演し、その時も柄本が演じた俊夫は、違う女性に心惹かれていく。
「佑さんはすごくやりやすいといいますか…。お芝居がお上手なのはもちろんですが、空気を作るのがうまい。『先生、私の隣に座っていただけませんか?』のときは情けない感じの役でしたが、道長はどこか怖いところもあり、お父さんの血を引いているなと思わせるところもありました。一方で、まひろといるときに童心のような表情を見せたり。とても面白かったです」。
そんな柄本との印象に残っているシーンについて黒木は「彰子に子供ができたと報告しに来てくださったときですかね。夫婦が成し遂げた一つのゴールでもあるので。道長と一瞬でも心が通じ合ったと思えるシーンは、どれも印象的ですね」としみじみ語っていた。
最終回でまひろと対峙「どういう感情になるのか自分でも楽しみ」
黒木にとって大河ドラマは『真田丸』、『西郷どん』に次いで3度目の出演となる。「今回は土御門殿のシーンがほとんどだったので、一気に撮って間が空くというスケジュールだったんです」とこれまでの大河ドラマほど「大河」感はなかったというと「そのぶんすごくいい気分転換になるというか、また違った形の参加の仕方を経験できました」と語る。
また所作についても「思っていたよりも平安時代というのはこだわりがないようで、むしろ江戸時代とかの方が複雑でした。左足から入るということ以外、結構自由度が高かったのは発見でした」と撮影を振り返っていた。
最終回では、まひろと対峙する。黒木は「これまで吉高さんとはあまり面と向かって2人でお芝居をすることがなかったんです。前半はサロンで皆さんと一緒でしたからね」と笑うと「お互いに成長した倫子とまひろが向き合い、積年の秘密を話すとき、どういう感情になるのか、自分でもとても楽しみです」と期待を口にしていた。
1990年3月14日生まれ、大阪府出身。2010年にNODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』のヒロインオーディションに合格し本格的にデビューし、映画『東京オアシス』(2011年)で映画デビュー。『小さいおうち』(2014)では第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。近年の主な出演作は、近年の出演作はドラマ『僕の姉ちゃん』(22)、『ブラッシュアップライフ』『下剋上球児』(23)、映画『ヴィレッジ』『せかいのおきく』『ほつれる』『キリエのうた』(23)、『ゴールド・ボーイ』『青春18×2 君へと続く道』『八犬伝』『アイミタガイ』(24)など。
(C)NHK