内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の男女それぞれの人口に占める一人暮らしの割合は、令和2年時で男性は15.0%、女性は22.1%となっています。
この中には、家族がいない、もしくは家族がいても頼ることができない、というおひとりさまもいます。そんな方々にとって、入院や死後の手続きについては大きな不安がつきまとうもの。「身元保証支援サービスなどを検討しようか?」と考える方もいるでしょう。
今回は、これらのサービスの選び方について、初心者の方でも分かりやすく解説します。
◆身元保証支援サービスとは?
身元保証サービスは、主に家族のいないおひとりさまの身元を保証するサービスです。身元保証サービスを行う会社はたくさんありますが、それぞれ提供する内容は異なります。そのうち主なサービスは以下の通りです。
●主な身元保証支援サービスとは?
・病院への入院・高齢者施設への入居時の身元保証・身元引き受け
病院に入院したときや高齢者施設に入居した際の身元保証、退院・退院することがあれば身元引き受けも行います。手術が必要な際の立ち合いなどのサービスもあります。
・緊急時の対応
自宅で生活していて倒れることがあれば駆けつけてくれるサービスです。高齢になり持病がある場合でも、緊急のときに対応してくれれば自宅でも安心して生活が送れます。
・亡くなる前後の手続き
延命治療や終末期医療について事前に本人の意思を示しておけば、意識を失った後や判断能力を失った後、意思どおりのサポートが受けられます。また、死後の葬儀・埋葬の手配、行政手続き、利用していた各種サービスの解約、遺品の整理、相続の手続きも代行してもらえます。
◆身元保証支援サービスの選び方
身元保証サービスを選ぶ際には、次の4つのポイントに注意して選ぶと安心です。
◇選び方1:信頼できる会社かどうか確認する
契約する会社が信頼できるかを確認しましょう。会社が倒産してしまうと、預けたお金やサービスが受けられなくなるリスクがあります。そのため、会社の設立年や実績、事業規模は必ずチェックしましょう。また、利用者の評判なども調べておくことが大切です。
◇選び方2:自分に必要なサービスかどうか確認する
契約するサービスが自分に本当に必要なものかを確認しましょう。身元保証サービスには、入院時のサポートや生活支援などさまざまな内容が含まれています。自分に必要なものをしっかり提供してくれるか、不要なサービスが入っていないかを確認するしましょう。その際に会社の担当者が利用者の身になって考え説明してくれるかも重要です。
◇選び方3:費用が適正かどうか確認する
身元保証サービスには初期費用や毎月の支払いがかかります。その金額が、負担なく支払えるか確認しましょう。また、料金を他の会社と比較することも忘れず行うことが重要です。似たサービス内容でも、会社によって費用が異なることがあったりするものです。その違いの理由も調べるようにしましょう。
【主な身元保証サービスの費用目安】
身元保証サービスにかかる費用は、利用するサービス内容によります。料金の一例を紹介します。
・サービス利用料:30万~50万円程度
身元保証サービスを受けるための利用料金です。
・預託金:50万~200万円程度
主に葬儀や納骨、死後事務や部屋の片付けなど死後に必要となる費用です。
・会費:月額0~5000円程度
身元保証サービス会社を利用するため、毎月会費が発生する場合があります。どんなサポートが継続的に受けられるのか確認しましょう。
◇選び方4:解約や変更ができるか確認する
契約後、事情が変わったときに解約やサービス内容の変更ができるかも重要なポイントです。万が一解約する場合にはお金が返金されるのか、契約内容を変更する際には別途費用がかかるのかを確認しておくと、後々トラブルを避けることができます。
◆まとめ
一人暮らしであれば、入院や死後について不安になるものです。不安軽減の選択肢の一つとして身元保証支援サービスの利用もありますが、それ以外に、元気なうちから親戚縁者や友人、地域のコミュニティーとつながりを持ち、いざというときに頼れる関係も築いておきましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
文=舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)