◆日本サッカー界のレジェンドの1人
丸山:福田さんといえば、日本サッカー界のレジェンド、Jリーグ初の日本人得点王、“ミスター・レッズ”“大将”とリスペクトされ、引退試合の観客動員数記録が伝説になっていると。
福田:一応5万人以上入っているんですけど、(所属クラブが)浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)だったので埼玉スタジアム(埼玉スタジアム2002)が使えたのと、ずっと浦和一筋できたのでサポーターがたくさん来てくれて。まだ抜かれていないんですよ。
丸山:へぇ~! 特に浦和レッズと鹿島アントラーズのサポーターはすごいですよね。
福田:そうですね。基本的に赤いユニフォームはみんな熱いんですよ。
丸山:ハハハハハ!
福田:赤いチームと青いチームというのは、世界的にも強かったりもしますし、やっぱり代表的なクラブが多いんですけど、特に鹿島はJリーグの初年度からずっと強かったし、浦和はあんまり強くなかったので、そういう思いもあって、浦和のサポーターはすごくライバル視しているんじゃないですかね。
丸山:なるほど。そんな福田さんですが、引退されてからは試合の解説などで活躍されていますけど、僕らは引退という言葉が全くないので。永遠と黙っているだけなんですけど(苦笑)。
福田:はい。
丸山:「丸ちゃん、最近どうしてるの?」「いや、ちょっといろいろありまして……」みたいな感じになっちゃっているんですけど、やっぱり(現役引退を自分で)決められるっていうのは、いいですよね。
福田:ゴルファーの方から「引退があるの、いいよね」ってよく言われるんですよ。その意味がちょっとわからないところもあるんですけど、たぶん今みたいに言われると、結構区切りがつかないですよね。
丸山:そうなんですよ。ずっと言われ続けるんですよ。
福田:そうですよね、ずっと現役ですもんね。「今、何やっているの?」って言われますよね。僕らの場合は、現役をやめてひと区切りするという意味では、新たな人生としてスタートが切りやすいと思います。
丸山:そのほうがいいのかな? だけど“引退”っていちいち言いたくないなみたいな。(引退したとしても競技を)どうせやっていけるわけで、コンペとかにも呼ばれちゃうわけですから、これって引退なのか、副業なのかよくわからないじゃないですか。
福田:でも、僕らからすると、引退がないのがいいなというふうにも思うんですよ。やっぱり、ないものねだりのところもあるから。
丸山:まあ、お互いにそうですよね。
福田:ただ、今おっしゃられた通り、やっぱり引退という形でプレーヤーとしての区切りをつけて、新たなスタートを切るというような自分のなかでけじめがつきやすいのもあるし、周りからもそうやって見られるから仕事がしやすくなるってこともあると思いますけどね。
丸山:ですよね。最近、年に1~2回出ているなんて、誰も気づかないわけですよ。出ても上位で争っているわけじゃないので。特にシニアはメディアにあんまり出ないじゃないですか。だからマニアなゴルフファンの層しか見ていないので、何となく気づかれないまま、今までずっときているわけですよ(苦笑)。
福田:でも、それを言われるのは嫌ですよね?
丸山:1回1回きちんと説明していかなくちゃいけないので……まあ、自分は引退するつもりはないんですけど、ケガで前線から退いてしまった時間が長かったので。ようやくこの2~3年、少し体が良くなってきたかなということで、シニアの試合にもちょっと出始めたんですよ。かといって、やっぱり休んじゃった時間も長いですから上手くいくわけじゃないので。だから、微妙なんですけど、ずっとやり続けなくちゃいけないなと思いながらも……。
福田:でも、スポーツの世界も勝負の世界もそんなに甘くないですもんね。
丸山:甘くないんですよ。やり続けている仲間たちと久しぶりに回るとめちゃくちゃ上手いんですよ。僕から見ると、うらやましいのもあるんですけど、いいなと思うんですよね。長年、ずっと現役で体の痛いところもカバーしながらできる範囲でやっていけているわけじゃないですか。
福田:はい。
丸山:見ていて、すごくいいなって。逆に言うと応援しますよね、仲間たちが頑張っている姿というのは。
◆刺激を受けた、同い年・57歳で現役のカズの言葉
福田:僕と同い年(57歳)で、まだ現役でやっている選手もいますけどね。
丸山:いましたね!
福田:僕と同い年なんですから、三浦知良(みうら・かずよし)選手。カズはすごいですよ。57歳でまだやっていますから。僕らの場合、プロの選手としてやっていくためには、契約してもらわなきゃいけないから。ということは、契約してくれるチームがなきゃいけないわけですよ。
丸山:そうですよね。
福田:何故、チームは契約するかといったら、その選手がやっぱりチームに何か利益をもたらしてくれるっていう条件ですよね。
丸山:おっしゃる通り。
福田:だから、プレーで結果として残すこともそうですし、それ以外のメディアとかスポンサーさんということも含めて、彼にはまだ全然価値があるということですね。
丸山:素晴らしいですよね。
福田:57歳でもお金を動かす、メディアを動かす。例えば、ちょっと試合に出たら必ずニュースになるし、点を取ったら必ずニュースになる。海外に移籍したら必ずニュースになる。そんなJリーグの選手はいない。
丸山:確かに。
福田:プレーのところではいろいろなことがあると思いますよ、57歳になれば。だけど、そうやってお金を動かしたり、人を動かしたり、いろいろなものを動かせる力をまだ57歳で持っていると。
丸山:やっぱりその年代ではたぶん業界1位じゃないですか? スポーツ業界を含めても。
福田:そうですね。
丸山:あんなに注目を浴びるシニアの層というか。(ほかに)いませんよね。
福田:僕は同い年で、同じ選手のときにはやっぱりライバル意識をすごく持っていて、なかなか素直に僕自身がなれなかった。
丸山:なるほど。
福田:たぶん嫉妬もあったと思うんです、僕自身。ちょっと嫌な部分もあったんだけれども、今このぐらい年齢を重ねてくると、すごくフラットな状態で彼を見れるようになった。僕が現役当時はそんなふうにしゃべったことがないんだけど、仕事の関係でインタビューすることがあって。いろいろ話をすると、昔話で盛り上がったりして。「いつまでやるの?」って聞いたら、「いや、ほかにやりたいものが見つからないから、サッカーしか好きなものがないからやっているんだ」って、目をキラキラ輝かせながら言うんですよ。
丸山:はい。
福田:大体年齢を重ねてくると、ちょっとケガをしたり、悲愴感が漂ってきたりするんですよ。僕は、プロの選手って同情されたら終わりだと思っているんですよ。ちょっと痛々しいとかかわいそうだなとかしょうがないよなとか……そうなるとちょっとつらいじゃないですか。
丸山:つらいです。
福田:カズの場合って、それがない気がするんですよ。キラキラ輝いているし、「サッカーを始めた少年のときよりも、今のほうがサッカー好きだ」って言うんですね。そんな素敵な人生ってないなと思って。それを聞いたときに、“同い年でまだまだ老け込んではいられないな”“頑張らなきゃな”って思えるぐらい、やっぱり刺激になる存在ですね。
次回11月2日(土)のゲストも、福田さんです。
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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<番組概要>
番組名:ACN presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/