東京メトロとナビタイムジャパンは28日、車両データを活用して「着座確率」を推定し、「座れるルート検索」「座りやすい号車案内」のサービス提供に向けた検証を開始したと発表した。
現在、「東京メトロ my! アプリ」や「乗換NAVITIME」などを通して、走行中の各列車における号車ごとの混雑状況を提供しているが、「座って移動できるか」に関する情報は提供できていなかった。今回、国内初の試みとして、走行中の各列車の混雑率に加え、列車が駅に停車している最中の混雑率の変化に着目し、「座れる」というポジティブな情報提供をめざすこととした。
東京メトロは各路線を走行する車両から取得される大量の車両データを集計・処理する技術、ナビタイムジャパンは効率的なデータ加工やシミュレーション技術を有しており、両社連携によって東京メトロ各駅の「『座れる可能性』=『着座確率』」の推定を試みる。
具体的には、東京メトロの各路線を走行する車両から取得した車両データをもとに、列車が駅に到着してから出発するまでの乗降状況(曜日・時間帯ごとの降車度合)を号車ごとに1秒間隔で解析し、東京メトロ各駅の「座りやすさに関する特性」を可視化。ナビタイムジャパンのデータ加工とシミュレーション技術を用いることで着座確率を推定する。
今回の取組みで、推定した着座確率を用い、座れる可能性のある経路を検索できる「座れるルート検索」や、各駅での号車ごとの座れる確率を示す「座りやすい号車案内」といった機能を「乗換NAVITIME」で試験提供。これらの機能を提供する際に重要となる、わかりやすく使いやすいデザインとUI、最適な表示タイミングも検証するという。アンケート調査とアプリ活用履歴を分析し、利用頻度をはじめ、結果として行動変容につながっているかのサービスの有用性も検証する。
年度内を目安として、車両データの収集と処理、着座確率推定に向けたデータ加工、シミュレーション手法の検討、確立をめざし、「乗換NAVITIME」の一部利用者を対象としたフィールドテストを行う予定としている。