『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。ピーターが愛車の”ドリス”でドラッグレースに参加することに。果たしてその結果は?
【画像】酔狂な試み!?1954年式の車でドラッグレースに挑戦!(写真4点)
ドリスほど、ドラッグレースに出そうにない車が他にあるだろうか?私はないと思う。まぁそれはともかく、私は笑い飛ばされる覚悟で、風格あるダイムラーのドリスでノーザンプトンシャーにあるサンタポッド・サーキットを訪れた。しかし、思いとどまるよう言い聞かせるような人は誰もいなかった。私の周りにいたのは、私と同じようにおかしな人たちばかりだったのだ。つまり、まともな神経の持ち主なら、ジェットエンジンに体を縛り付けて目を閉じて祈り、わずか5秒後に1/4マイル離れた場所で無事でいたい、などと思わないということだ。
開始時間が早かったこともあり、せっかくなので現地で前泊することとした。当時のシウェル飛行場の士官食堂を改装した、素晴らしいアールデコ調のアビエーター・ホテルは最高だ。客室はとても快適で、雰囲気のあるレストランは、1958年の開業日に出席した航空業界のエース、ダグラス・バーダー大尉に捧げられている。
シウェルには独自の博物館もあり、航空関連やクラシックカーのイベントも年間を通じて開催されている。その筆頭が「シウェル・エアショー」だ。時間が足りないって?ならば、絶え間なく行き交う航空機を背景に、庭園でコーヒーやアフタヌーンティーを楽しむのはいかがだろう。きっと気に入るはずだ。
ドラッグコースに到着すると、ドリスは冷静沈着に3回のタイム計測をこなし、そのベストタイムは62.90mphだった。革新的な数字では決してない。たぶん、控えめなものだ。しかし、これは満足のいく結果で、1954年に『オートカー』誌が最初に発表した数値を2mph近く上回っているのだ。これはおそらく、燃料の改良と、制限の少ないストレートスルーのサイレンサーを備えたステンレス製排気システムを装着した効果なのではないかと思っている。
その一方で、人生、現実、そしてクラシックカーの所有は続いている。ただ、必ずしもこの順序ではない。ドリスは文句も言わずに頑張っているが、同じガレージを共有している姉妹車のオードリーについても同じことが言えたらいいのに、と思う。思い付きで購入した1955年式のダイムラー・コンクエスト・センチュリーのオードリーは、ボディのコンディションは非常に良いが、ドライビング・エクスペリエンスはもっと改善できるはずだ、とだけ言っておこう。
例えば先週、スターターモーターが動かなくなった。それは大した問題ではなかった。ボルトを2本ほど外し、エンジンを降ろしてから、親友のティムに修理してもらった。幸せな日々だった。しかし、その2本のボルト以外に、フロントの排気システムやキャブレター、エアフィルターなど6つの部品を取り外すのに1週間もかかった。そしてティムが海外から帰国するのを待つ間、そのまま放置されている状態だ。
この写真を見た人に向けて、狭い駐車スペースに車を置く際の私からのアドバイスだ。毎回バックで入れて、ギアを入れず、サイドブレーキもかけないままにしておくこと。あくまで私の意見だが。
文:Peter Baker