10月に入ってから急に肌寒さを感じる日が増え、急激な気温の変化に身体がついていかないと感じている人も多いのではないでしょうか。
もしいま「だるい」「食欲がない」などの不調を感じているとしたら「秋バテ」かもしれません。「秋バテ」はなぜ起こるのでしょうか。また「秋バテ」の症状を和らげるにはどうすればいいのでしょうか。「秋バテ」の原因や症状、対策について解説します。
■夏から秋への季節の変わり目に起こりやすい「秋バテ」とは?
「秋バテ」とは、9月下旬頃から現れる「だるい」「疲れが取れない」などの夏バテに似た症状のことをいいます。「秋バテ」のおもな原因として、「夏の疲れやダメージが残っていること」「急激な気温変化に伴う自律神経の乱れ」が挙げられます。
【1】夏の疲れやダメージ
夏はエアコンによる身体の冷えや、エアコンのきいた屋内と暑い屋外との気温差など、身体にとって過酷な季節です。エアコンによる冷えや屋外との気温差は、自律神経への負担にもなります。さらに、暑さによる食欲不振から食生活が偏ったり、冷たいものの摂りすぎで胃腸の機能が低下したりすることも多く、夏の生活習慣の乱れやダメージを引きずったまま秋に突入してしまうと「秋バテ」が起こりやすくなります。
【2】急激な気温変化に伴う自律神経の乱れ
秋は、日中は夏のように暑いかと思えば朝晩は冷え込むなど、日中と朝晩の寒暖差が大きいだけでなく、日によって気温が大きく異なるため、身体は体温調節に大忙し。外気温が低くなると身体を緊張させる交感神経が優位になり、その状態が続くとエネルギー消費が大きくなるため、疲れやだるさなどの症状が現れます。さらに、秋は台風や低気圧の影響で気圧が上下することも身体への負担になることから「秋バテ」が起こるのです。
■「秋バテ」はどんな症状が出る?
「秋バテ」の症状は夏バテと似ており、大きく「身体的症状」と「精神的症状」に分けられます。「秋バテかも?」と思われる方は、以下にあてはまる症状がないかチェックしてみてください。あてはまる症状が複数ある場合は「秋バテ」の可能性があります。
おもな身体的症状
・疲労倦怠感
・頭痛
・肩こり
・食欲不振
・胃もたれ
・便秘
・めまい
・立ちくらみ
・口や喉の渇き
おもな精神的症状
・やる気が出ない
・気分がふさぐ
・不眠
・イライラ
■「秋バテ」を予防するには?
「秋バテ」を予防するには、自律神経を整えること、十分な栄養を摂ることが大切です。そのためには、毎日の起床・就寝の時間を一定にして、規則正しい生活を送ることを心がけましょう。十分な睡眠を取ることも大切です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、大人の場合6~8時間程度の睡眠が必要とされています。
夏場の食欲不振からくる偏った食生活が「秋バテ」の引き金になることもあるので、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しないよう、和食の基本である「まごわやさしい(まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも)」をバランスよく摂るようにするといいでしょう。「秋バテ」の予防には十分な水分摂取も有効ですが、冷たいものの摂りすぎは逆効果になってしまうため、常温あるいは温かい飲み物を摂り、身体を冷やさないようにしましょう。
■不調を感じた場合、和らげる方法は?
すでに「秋バテ」の象徴がある場合は、規則正しい生活や栄養バランスの整った食生活を意識しつつ、入浴や軽い運動も取り入れるようにしましょう。
バスタイムはシャワーだけで済ませるのではなく、38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、自律神経を整える効果が期待できます。お風呂にゆっくり浸かることは睡眠の質向上にもつながるといわれており、就寝の2~3時間前が理想的な入浴のタイミングです。
適度な運動にも、自律神経のバランスを整えたり、睡眠の質を高めたりする効果があります。軽く汗をかく程度のウォーキングやラジオ体操、軽いジョギング、ストレッチなどがおすすめ。寝る前の激しい運動はかえって睡眠の妨げになるため、就寝前ならストレッチやヨガなどの穏やかなエクササイズがいいでしょう。
食生活においては、栄養バランスを意識するだけでなく、旬の食材を積極的に取り入れるようにしましょう。昔から「旬の食材を摂るといい」といわれますが、それには理由があります。さつまいもは身体を温める糖質や腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれていたり、さんまには疲労回復を促すビタミンB2が豊富に含まれていたりと、秋が旬の食材は「秋バテ」からの回復を助けてくれる栄養素の宝庫なのです。
夏のあいだに蓄積された疲れやダメージが残っていることに加えて、急激な気温変化のある秋は、心身に不調が現れやすい時期。旬の味覚を味わいつつ、規則正しい生活と適度な運動を意識して「秋バテ」を乗り切りたいものです。
最後に秋バテの予防法や対処法に関して、消化器内科の専門医に聞いてみました。
夏バテは屋内外での気温差や睡眠不足などによる自律神経の乱れ、秋バテは日内あるいは日々の寒暖差などによる自律神経の乱れが主因です。
自律神経とは身体機能を維持するために無意識に働く神経のことで、体温調節や血圧や呼吸のコントロールなどを行っています。アクセルの働きをする交感神経とブレーキの働きをする副交感神経にわけられ、この二つの神経のバランスが崩れると心身に不調をきたします。自律神経を整えるためには、生活のリズムを一定にすることが大切です。すなわち、規則正しい生活(3食規則正しく食べることと、一定の時間に寝起きすること)と良質な睡眠です。
まず、起床時に陽の光を浴び、体内時計をリセットする。食事はバランスよくビタミンが豊富で身体が温まるものを意識して摂取するようにする。20~30分程度の有酸素運動やぬるめの湯船にゆっくりつかることで入眠しやすくなり睡眠の質も高められます。食事は寝る3時間前までにすませ、スマホやパソコンは寝る前には控え、個人差はありますが睡眠時間を6~7時間にすることで、睡眠の質向上につながります。また、着脱しやすい羽織れる衣類を持っていると、体温調節しやすく秋バテの予防につながります。