東京商工リサーチは10月17日、2023年度「役員報酬・平均年間給与」調査の結果を発表した。調査は、全証券取引所の2023年度決算の上場企業3,874社を対象に、有価証券報告書で役員報酬1億円以上を個別開示した企業および掲載の平均年間給与を集計している。

  • 2023年度 役員報酬額ランキング

    2023年度 役員報酬額ランキング

賃上げが進んだ2023年度(2023年4月期-2024年3月期)に役員報酬1億円以上を開示した上場企業は509社、人数は1,120人と、ともに過去最多を記録。また、上場企業(純粋持株会社除く)の従業員の年間給与は633万7,000円(中央値609万9,000円)で、2010年度以降で最⾼を記録した。

2023年度の役員報酬は、7&iHDのジョセフ・マイケル・デピント取締役の77億3,200万円(前年37億8,700万円)がトップとなり、歴代2位の高額報酬に。内訳は、7&iHDの基本報酬が2,200万円、連結子会社7-Eleven,Inc.から基本報酬2億7,200万円、賞与74億3,700万円。

以下、2位はソフトバンクGのレネ・ハース取締役の34億5,800万円、3位はソニーグループの吉田憲一郎代表執行役会長兼CEOの23億3,900万円、4位はルネサスエレクトロニクスのSailesh Chittipeddi元執行役員常務の21億4,900万円、5位は武田薬品工業のクリストフウェバー代表取締役社長CEOの20億8,200万円となり、報酬額10億円以上は18人(前年11人)に増加した。

  • 2023年度 上場企業平均年間給与 ランキング

    2023年度 上場企業平均年間給与 ランキング

従業員年間給与のトップは、M&Aキャピタルパートナーズの2,478万円(前年3,161万3,000円)で、10年連続トップ。年間給与1,000万円以上は86社(前年64社)に増えた。

個別企業の年間給与トップは、M&Aキャピタルパートナーズの2,478万円(前年3,161万3,000円)で、10年連続トップ。以下、2位は三菱商事の2,090万9,000円、3位はキーエンスの2,067万円、4位はヒューリックの1,907万9,000円、5位は三井物産の1,899万9,000円と続き、2,000万円以上が最多の3社に。また、年間給与額レンジは「500万円以上600万円未満」(927社、構成比28.7%)が最多となったが、「1,000万円以上」が86社(前年64社)と2010年度以降で最多を記録。2014年度から10年間で3.1倍に増加した。

  • 2023年度 従業員平均給与との格差ランキング

    2023年度 従業員平均給与との格差ランキング

次に、役員報酬が1億円以上の1,120人の報酬額と、従業員の年間給与を比較した結果、格差が最大だったのは7&iHDで、ジョセフ・マイケル・デピント取締役の報酬額77億3,200万円と従業員給与(年間給与818万8,000円)の格差は944.3倍。参考までに国税庁がまとめた2023年給与所得者(正社員)の年間給与530万3,000円と比べると、1,458.0倍の差に。一方、年間給与トップのM&Aキャピタルパートナーズの中村悟社長(報酬額12億6,400万円)は従業員の年間給与の51.0倍だった。

役員報酬と従業員の年間給与の格差は、中央値で10.8倍。役員報酬は、欧米の企業に合わせて業績連動型の報酬体系が定着しつつあり、全社だけでなく、担当部門の業績でも大きく変動する。一方で、従業員の年間給与は、賃上げと積極的な新規採用で左右される側面もあり、役員報酬と従業員の賃上げバランスは崩れてきている。