だが会津若松市で馬肉について取材すると自分たちが王者だと言わんばかりだ。仲良しバレーチームに馬刺しが好きか聞くと全員「はーい」と手を挙げる。でも熊本が1位だけど?「量じゃなくて質で勝負してる」「味は全然会津の方がうまい」と自信絶大だ。
そこで熊本の霜降り肉の馬刺しを見せると「違う違う。これ牛肉だよ」となぜか全否定。
ピクニック中の奥様方は「会津は赤身です」と言う。「霜降りは食べない」どういうことだ?
地元で人気の居酒屋さんに行くと赤身の馬刺しがやはり出てきた。「霜降りはないですね。赤身オンリーです。」とお客さん。
熊本には負けてないってことですね?と聞いたら「負けてんの?!」と怒り気味に返す会津のおじさん。「熊本に行って見たっけ霜降りだった。あれは馬刺しでねえな。」と断言していた。
食べ方も刺身だけでなく焼肉にしたり煮込みでも食べるそうだ。煮込みの調理をあるお宅で見せてもらった。馬肉を焼いて辛子味噌で味を付け、大根とじゃがいもをお酒でじっくり煮込む。馬肉を戻して味噌とまた辛子味噌。醤油で味を整え完成。
福島では戊辰戦争の頃に負傷者の滋養強壮に馬肉を食べるようになったが生では食べてなかった。「肉の庄治郎」さんによると「プロレスラーの力道山さんがうちに来て生で食べたとが始まり。」だそうだ。「昭和30年9月1日にうちに来て、馬肉を売ってくれと言ったのです。」力道山は持参した辛子味噌につけて食べた。それを見て「肉の庄治郎」では馬刺しと辛子味噌をセットで売るようになった。それが広まって馬刺しが会津で愛されるようになったのだ。
馬刺しだけでなく、会津ではさまざまな馬肉料理を楽しむ。馬肉ステーキに辛子味噌ソース、馬肉を炙って叩いた丼、ラーメン店ではチャーシューが馬肉でスープを馬の骨で取った馬力ラーメンも出てきた。
ラーメンを食べたおねえさんに感想を聞くと「ヒヒーン!」といななく。いや、それわざと言ったよね。「味噌と馬があってる。ウマいです。」と重ねてきて、とにかくおいしいことは伝わった。
会津はおいしいものが多いけど、馬刺しも食べてみたいね!