花王の「めぐリズム」と JTの「呼吸する休憩所」が、10月17日より共同実験をスタート。両社のオフィス内にて、『心とからだが休まる休憩体験』を行うことで、コミュニケーションにもたらす影響を探っていくのだそう。心身にアプローチする良質な休憩とはどんなものなのか、発表会で話を聞いてきました。

  • JT本社内に設置された休憩所

『心とからだが休まる休憩体験』とは?

これまで、両社が掲げるパーパスのもと、花王では「蒸気でホットアイマスク」と専用BOXを企業やオフィスに設置する「オフィスめぐりズム」を、JTでは呼吸に着目した休憩の仕方を提案する「呼吸する休憩所」を設けるなど、体だけでなく心の豊かさにも着目した良質な休憩の提供に取り組んできました。この休憩に取り組む姿勢に両社が共鳴し、今回の連携が実現。

JT コーポレートR&D組織「D-LAB」の御神村友樹氏によると「ディスカッションの中で心が豊かでなかったら何が起きてしまうんだろうと考えたときに、人にやさしくできなくなってしまうかもしれない、ということが話としてあがりました。同じ事柄が起こったとしても、自分たちの心の状態によって表現が変わってくることがあり、心の豊かさは誰かに対するやさしさなのかもしれない」と、“やさしさ”を1つのポイントとして注目した経緯を述べました。

  • JT コーポレートR&D組織「D-LAB」 御神村友樹氏

日本労働組合総連合会の調査によれば、仕事や職業生活に関してストレスを感じている労働者のストレス要因の1位は“職場の人間関係”。心身を健やかにして働くためには、職場環境の改善が求められるとことから、心とからだが休まる休憩体験が、心のゆとりや健やかさを生み出し、対人関係やコミュニケーションの良好化に寄与できるのではないかという仮説のもと、共同実験の実施に至ったのだそう。

本実験は、10月17日~10月31日にかけて、両社のオフィス内にて実施。めぐりズムの「蒸気でホットアイマスク」、JT コーポレートR&D組織 D–LABが開発する、呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」、JTの連結子会社BREATHERが販売する深い呼吸の習慣化サポートデバイス「ston s(ストン エス)」などを活用します。

  • 呼吸するクッション「fufuly」

両社の従業員にひとりで自分の心や体を休める休憩体験を意識的に取り入れてもらい、良質な休憩体験が対人コミュニケーションの量や質にどのような影響をもたらすのかを計測。実際に両社のオフィスにて休憩体験をした従業員を対象にアンケート調査とクローズド実験の2種類の形式で、人はやさしくなれるのかを検証するそうです。

花王 パーソナルヘルス事業部の仲田実沙希氏は「アンケートの調査では、花王の感覚科学研究所が開発している快適感評価システムを用いてやさしさの変化を検証。クローズドな実験では、ブレインストーミングの手法を用いて、コミュニケーションの量や質を調査するとともに、心身のゆとり、健やかさなどの自己認識、対人的感情の変化などを総合的に分析・評価していきます。この2つを組み合わせて、やさしさを総合的に見ていこうというのが今回の実験の取り組みです」と説明。本実験の結果は年内に公開を予定しているといいます。

  • 花王 パーソナルヘルス事業部 仲田実沙希氏

『心とからだが休まる休憩体験』を体験

発表会では、実際にJT本社に設置された「呼吸する休憩所」で心と体が休まる休憩というものを実際に体験。水色を基調とした空間には、さまざまな形のソファの上に呼吸するクッション「fufuly」が置かれていました。

  • JT本社内の「呼吸する休憩所」

早速、「蒸気でホットアイマスク」を装着して「fufuly」を抱えてみると、ふわふわのクッションからは呼吸をしているかのような動きを感じ、つられるように自然と深い呼吸を意識するようになりました。

ホットアイマスクはじわじわと温かくなり、すっかりリラックスモードへ。目をつむり、呼吸に意識を傾けることでマインドフルネスをしているかのような整いを感じられました。

たった数分間の体験ではありましたが、ペットと戯れた後のようなやさしい気持ちに。こんな休憩場所が身近にあったら毎日通ってしまいそうなほど、心地良い時間を過ごせました。

  • 「呼吸する休憩所」に設置された「オフィスめぐりズム」キット

  • 「呼吸する休憩所」に設置された『ston s』

今回の実験を通じて、御神村氏は「われわれが目指すのは、心の豊かさを実現できる世界。本実験で結果を示せたら、さまざまな企業で同じような体験をしていただけるような状態にしていきたい。また、一般の方々にも使っていただけるようなコンテンツを開発できないかディスカッションを始めているので、そういったものにつながっていくような実験結果になると願っています」と今後の展望について語りました。