年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、特別支給の老齢厚生年金をもらい始めたら、厚生年金への加入はどうなるのかについてです。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生年金をもらい始めたら、厚生年金への加入はどうなるのかについてです。

◆Q:「特別支給の老齢厚生年金」をもらい始めたら、厚生年金には加入できなくなる?

「特別支給の老齢厚生年金をもらい出すと、今加入している厚生年金は脱退しなくてはいけないのですか?」(ぽむぽむさん)

◆A:特別支給の老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金に加入できます

「特別支給の老齢厚生年金」は、生年月日と性別により受給開始年齢が変わりますが、60歳から65歳になるまでの間にもらえる年金です。

「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができる人は以下の(1)~(3)に当てはまる人です。

(1)60歳以上の方で、男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人

(2)老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある

(3)厚生年金保険等の加入期間が1年以上ある

ご質問者は、特別支給の老齢厚生年金を受け取ると厚生年金は脱退しなくてはいけないのかと心配されているようですが、その必要はありません。特別支給の老齢厚生年を受け取りながら、企業などで働いて厚生年金に加入することができます。

ただし、厚生年金に加入して働きながら、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取る場合、毎月の老齢厚生年金額(基本月額)と月収等(総報酬月額相当額)の合計金額によって、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金も含む)が一部または全額、支給停止される場合があります。これを在職老齢年金といいます。

在職老齢年金で老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金も含む)が支給停止になるのは、基本月額と月収等の合計金額が50万円を超えた場合です。

ご質問者も、厚生年金に加入しながら給与をもらうと、「特別支給の老齢厚生年金」が一部支給停止になるかもしれません。しかし、厚生年金に加入して厚生年金保険料を支払えば、その分、将来受け取れる年金が増えることにもつながります。支給停止になる以上に厚生年金に加入し続けるメリットは大きいといえるのではないでしょうか。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

文=All About 編集部