帝国データバンクは「語学スクール」の市場規模について調査・分析を行った結果を、2024年9月30日に発表した。調査は、同社が保有するデータベースで抽出した「語学スクール」運営を主業としている企業約170社(2023年度)を対象に、企業信用調査報告書(CCR)ほか、外部情報などを基に集計したもの。
2023年度における「語学スクール」市場規模は、語学スクール事業を主力とする約170社の収入高合計で「1797億円」であることが分かった。市場規模をみると、ピークとなる2019年度(2031億円)以降、コロナ禍で対面での教室開講が厳しくなったことや渡航の制限に伴い需要が減退したことから、9割前後に留まった。
2023年度の損益が判明した約70社を分析した結果、「黒字」(58.2%)に次いで「赤字」(34.3%)、「収支一杯」(7.5%)であることが判明した。黒字企業では、高スキル人材の定着による顧客増加や、オンライン授業への移行に伴う運営コストの軽減でコロナ禍でも収益を確保したという。
一方、赤字企業では、人件費や運営コストが高騰したほか、広告宣伝費を吸収できず、同業者との競合激化で講師や顧客の獲得が困難となり、収益力が低下した傾向にあるとのこと。
今回の調査により、コロナ禍で縮小した「語学スクール」の市場規模の回復が進んでいないことが明らかに。一方で、今年10月より雇用保険から支給される教育訓練給付金の給付率が、受講費用の最大70%から80%に引き上げられる。
公的支援の手厚さがリスキリングを含めた学習機会の増加につながれば、市場規模は2019年度並みに回復していくことが推察される。