老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、妻が65歳になったときの加入年金についてです。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は妻が65歳になったときの加入年金についてです。

◆Q:妻が65歳になったら加給年金は、まったくもらえないのですか?

「私は3歳年下の妻を扶養している会社員です。自分が65歳で年金受給者になった場合、妻を扶養していれば、加給年金をもらえると聞きました。しかし、妻が65歳になったら加給年金をもらえなくなるそうですが、本当にゼロになってしまうんでしょうか?」(東京都・男性)

◆A:配偶者の要件である「65歳未満」を満たさなくなると、支給されなくなります

加給年金制度は、原則として、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳以後の老齢厚生年金を受けられるようになったときに、その人に生計を維持されている一定の配偶者または子がいるときに加算される制度です。年金版の家族手当のような制度ともいわれています。

具体的には、年金受給者の要件と配偶者や子の要件に該当する必要があります。

【年金受給者の要件】

・厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あること(一部例外もあります)

・65歳以後の老齢厚生年金を支給されていること(一部例外もあります)

【配偶者の要件】

・年金受給者に生計を維持されていること

・65歳未満であること

・被保険者期間が20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金、あるいは、障害厚生年金や障害基礎年金または障害共済年金等を支給されていないこと

※子の要件は、ここでは割愛します

したがって、配偶者(妻)が65歳になると、配偶者の要件である65歳未満を満たさなくなってしまいますので、加給年金の支給はされなくなります。

加給年金の支給はなくなりますが、配偶者本人が昭和41年4月1日までに生まれており、老齢基礎年金の支給を受ける場合には、一定の基準により配偶者本人の老齢基礎年金の額に加算される振替加算という制度があります。昭和41年4月1日までに生まれている、という制限がありますが、一度確認してみてはいかがでしょうか。

文:坂口 猛(ファイナンシャルプランナー)

税務大学校を卒業後、税理士事務所にて約7年間勤務。大手上場企業等で、財務・会計・税務に従事した後、独立。税金・相続・会計に強い実務派FPとして活躍中。相談業務や、執筆活動をおこなっている。

文=坂口 猛(ファイナンシャルプランナー)