2番目に注目されたのは20時28分で、注目度78.1%。蔵人・藤原惟規(高杉真宙)と斎院の中将(小坂菜緒)のはかないロマンスのシーンだ。

「はあ…はあ…はあ…はあ…」惟規は闇夜を必死の形相で駆け抜ける。「待て!」「いたぞ!」「待て!」追っ手の声があたりに響くが、惟規は構わず斎院の塀を勢いよく乗り越えた。しかし、うまく受け身がとれず、派手な音とともに庭に転げ落ちた。

斎院の中将が、騒がしい外の様子が気になって部屋から出ると、庭には愛しい惟規が這いつくばっている。「惟規様…」斎院の中将は惟規に駆け寄ると、2人はしっかりと抱き合った。しかしそれもつかの間、「何をしておる!」と、警備の兵によって2人は直ちに引き離された。「中将の君!」「惟規様!」2人はお互いの姿が見えなくなるまで、名を呼び合っていた。

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不らちな理由で忍び込む惟規に「スチャラカ公務員」

このシーンは、ロミオとジュリエットばりの惟規の恋愛模様に、視聴者の注目が集まったと考えられる。

「光る君へ」公式Webサイトの特集「をしへて!」によると、惟規が侵入したのは京都の北東にある上下賀茂社だ。陰陽道の鬼門にあたる方角に建てられ、都を災厄から守るための神聖な神社に、恋人に会うという不らちな理由で忍び込むという惟規の行為に、SNSでは「あほー惟規のあほー」「スチャラカ公務員惟規」「惟規くん、意外と情熱的だな」と、あきれながらも微笑ましく見守る視聴者の声が集まっている。

斎院は、賀茂別雷神社(上賀茂神社)と賀茂御祖神社(下鴨神社)の両賀茂神社に奉仕した未婚の皇女で、伊勢神宮の斎宮と併せて斎王とも呼ばれた。斎院制度は、810年に第52代嵯峨天皇が娘・有智子内親王を初代斎王として奉仕させたことが始まり。現時点の1007年に在位していたのは第62代村上天皇の娘・選子内親王。同母兄弟に冷泉天皇・円融天皇(坂東巳之助)・為平親王がいる。選子内親王は57年という歴代最長の任期を務めて大斎院と呼ばれた。惟規のお相手の斎院の中将は、斎院司長官・源為理の娘で、母はあかね(和泉式部:泉里香)の妹という説がある。

斎院の中将を演じる小坂菜緒は日向坂46のメンバーで、『Seventeen』専属モデルでもある大阪府出身の22歳。『光る君へ』が大河ドラマ初出演だ。わずか30秒足らずの出演時間だが十分に存在感を示した。

斎院の中将の父・為理の位階は従五位下であり、惟規の父・藤原為時(岸谷五朗)が越前守に叙任された時と同じ位(為時はのちに正五位下に叙任されるのでむしろ格上)なので、父の位階の上ではそこまで身分に隔たりはないように思えるが、源氏という血筋と役職の尊さが惟規には釣り合わないのだろうか。この恋が成就するよう惟規には頑張ってほしいところだ。