児童手当とは、中学校卒業までの児童を対象に、原則主に生計維持している収入のある親に支給されていました。この児童手当の制度が2024年(令和6年)10月から変わります。具体的な変更点には児童手当の支給対象者、第3子からの支給額、支給回数などがあります。詳しい内容について確認してみましょう。
◆主な変更点①:児童手当は児童が高校卒業まで支給されるようになりました
2024年(令和6年)10月から児童手当の対象者が、これまでの「中学校卒業までの児童」から「高校卒業(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの児童」に拡大されます。ただし児童は国内居住が要件です(海外居住は申立書が必要)。
◆主な変更点②:児童手当、第3子以降の支給額が大幅増額します
児童手当は、子ども1人につき、原則として以下の金額が支給されます。3歳以上高等学校修了前の第3子以降は月額3万円と、これまでの月額1万5000円から大幅増額となりました。
●3歳未満:月1万5000円
●3歳以上高等学校修了前:月1万円(第3子以降は月3万円)
さらに2024年(令和6年)10月からは児童の数え方(カウント方法)が変わります。第3子以降を数えるときの年齢層が18歳最初の年度末までの児童から「22歳最初の年度末(大学修了)までの間にある児童」に拡大されました。
以下の例のように、保護者(受給者)が養育する年齢の高い順に数えて「第○子」となります。
例)大学2年生、高校1年生、中学3年生の児童を養育している場合の児童手当額
・第1子:大学2年生(支給対象ではないが、第1子と数える)
・第2子:高校1年生(支給対象)月額1万円
・第3子:中学3年生(支給対象)月額3万円
◆主な変更点③:児童手当が偶数月、年6回支給になりました
児童手当は年3回払いでしたが、2024年(令和6年)10月分から支払い回数が増えます。偶数月にそれぞれ前月分まで、2カ月分が年6回支給されるようになります。振込日は自治体によって若干違いますが、10日前後または15日前後のところが多いです。2024年(令和6年)10月・11月分は12月に支給されます。
原則上記の額が満額で支給されますが、給食費や保育料などを自治体(市区町村)の判断で、児童手当から差し引くことができる、とされています。また、保護者が市区町村に申し出れば、給食費等を差し引いた額で、支給してもらうこともできます。
◆主な変更点④:児童手当に所得制限がなくなりました
2024年(令和6年)9月までは、児童手当を受給するにあたり、所得による制限がありました。所得制限によって児童を養育している人の所得が一定以上の場合は、児童手当が受け取れなかったり、特例給付として児童1人当たり月額5000円の給付でした。ところが2024年(令和6年)10月からは所得制限がなくなり、所得が高い保護者にも児童手当が支給されるようになります。
◆制度の改正によって、手続きが必要な人は?
現在子どもが高校生以上の保護者や所得制限で特例給付が支給されていた保護者等、今回の改正による児童手当の申請手続きが新たに必要なのは以下の方です。現在中学生以下の子を養育しており、児童手当を受給中の方は手続きする必要はありません。
■1:高校生年代の児童のみ養育していて、児童手当を現在受給していない方
……「児童手当制度改正に伴う認定請求」が必要
■2:現在所得制限超過により手当を受給していない、または特例給付を受給している方
……「児童手当制度改正に伴う認定請求」が必要(申請不要の自治体もあり、要確認)
■3:中学生以下の児童を養育していて児童手当受給中だが、現高校生年代の兄・姉がいる方
……「児童手当の額改定請求に係る手続き」が必要
■4:兄・姉が22歳に達する日以後最初の3月31日までの子(現役大学生)で生計費を負担しており、第3子以降の受給がある方
……「(児童手当)監護相当・生計費の負担についての確認書に係る手続き」
今回の児童手当改正に係る申請はマイナポータルまたは各自治体のHPからの「オンライン」による手続きで行います。マイナンバーカードがないなどオンライン不可の方は郵送で手続きできます。お住まいの自治体に確認してみましょう。改正に係る児童手当の申請は早めに行いましょう。2024年(令和6年)10月分から児童手当が支給される申請期限は2025年(令和7年)3月31日までです。
児童手当の郵送手続きに必要な添付書類は、以下のとおりです。
・申請書
・請求者の金融機関の通帳コピー
・請求者のマイナンバーカード等
・請求者の身分証明(運転免許、マイナンバーカード、パスポート、障碍者手帳、健康保険証、年金手帳、戸籍謄本など)
市区町村の認定を受ければ、原則として申請した月の翌月分の児童手当から支給されます。詳しくは現住所地の市区町村窓口へ問い合わせましょう(公務員の方は職場へ)。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)