第14期加古川青流戦(主催:加古川市、一般財団法人加古川市ウェルネス協会)は、準々決勝と準決勝の計4局が9月3日(月)に行われました。このうち関西将棋会館で行われた狩山幹生四段―上野裕寿四段戦は121手で上野四段が勝利。上野四段は午後に行われた古井丈大三段との準決勝も制して決勝進出を決めています。
同門対決の準々決勝
狩山四段は岡山県出身の22歳。受け主体の粘り強い棋風で、昨期の本棋戦でもベスト8入りを果たしています。対する上野四段は兵庫県出身の21歳。昨年の新人王戦では藤本渚五段を破り堂々の優勝を果たしています。ともに井上慶太九段門下の対決となった本局は近ごろ再流行の兆しを見せる矢倉の戦型に進みました。
後手番らしく矢倉中飛車の陣を敷いた狩山四段に対し、先手番の上野四段は持ち味の鋭い棋風で踏み込みます。角を切って銀を入手したのは直後の角取りとなる銀打ちに期待したもの。一時的に駒損にはなるものの、銀の圧力で右辺一帯を制圧して指しやすさを手にしました。狩山四段は受けの時間が続きます。
上野四段が快勝
うまく戦機を得た上野四段は盤上中央でのねじり合いから抜け出します。後手玉の早逃げの気配を察知して自陣中央に飛車を回ったのが機敏な立ち回り。こうなると序盤で右金を一段目に配備していた点もプラスに働きます。狩山四段としては2筋を守るために打った自陣角が遊んだ点が最後まで響きました。
狩山四段も攻め合いに活路を見出しますが、攻めの目標とされていた桂馬を反撃に活用する手順は上野四段の読み切りを思わせるものでした。終局時刻は12時27分(持ち時間各1時間)、最後は自玉の詰みを認めた狩山四段の投了で上野四段のベスト4進出が決まりました。上野四段は午後の準決勝でも古井三段を破って決勝進出を決めています。
水留啓(将棋情報局)