まだまだ暑い夏は、そうめんで癒されたい。そしてそうめんの中でもっともポピュラーなのは揖保乃糸だろう。その産地は兵庫県。生産量日本一、そうめんの王様なのだ。どこのスーパーでも手軽に買える揖保乃糸だが、他のそうめんと何が違うのか?似たようなもんじゃないの?

兵庫県へ行き、仲良し若者3人にそうめんについて聞くと「揖保乃糸しか食べない。」と言い切る。「特級とかひねとか種類もいっぱいあります。」え?種類があるの?

おっちゃんに、そうめんはどれも同じでしょうと聞くと「全然違う。それ甘い。」とちょい叱られた。「木箱で買うねん。120束くらい入っとうかな。」ひゃ、120?!

4人連れレディーズが言うには「黒帯がいちばんいい。」黒帯?「そうめん語っていいのは黒帯から。」と、そうめんに無知なスタッフを見下す。

揖保乃糸は兵庫県西部の播州地方で作られる。播磨の小京都、たつの市を歩くと、揖保乃糸を看板に掲げるメーカーが、あった!だがこっちにも!あっちにも!

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揖保乃糸って一つのメーカーの商品名じゃないの?なんと、揖保乃糸は西播磨の約400軒の生産者によって作られているそうだ。兵庫県手延素麺協同組合がとりまとめて揖保乃糸ブランドを名乗っている。

姫路市のスーパーに行くと、揖保乃糸が山のように積まれている。

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さらにお中元コーナーには、木箱入りの揖保乃糸が大量陳列。9kg入り17000円越えの箱まである。

あるお宅で揖保乃糸を食べる様子を取材。するとそうめんが氷水に浸かってではなく、そうめんの上に氷が乗った状態で出てきた。

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あれ?麺がくっつくのでは?と聞くと、おにいさんが「伸びませんか?」と質問返し。「水につけたら揖保乃糸のコシがなくなりますよ」と、詰められ気味に言われた。そうなのか!揖保乃糸はくっつかないので、水につけずに食べるのか!

揖保乃糸のおいしさは、コシの強さ。「他のそうめんは、じゅるい!」じゅるい、って初耳の単語だけど、コシがなくてジュルジュルしてることを言うんだろう。わかるなあ。

少年に揖保乃糸はどこがおいしいか聞くと、「醤油がうめえ!」いや、コシでしょ?ところが、めんつゆも揖保乃糸専用のものがあり、出汁も効いておいしいらしい。

ここで先ほどの4人連れレディーズに戻ると「揖保乃糸の帯は赤、黒、紫などがあって階級が違う、おいしさも違う」と教えてくれた。

揖保乃糸は7種類あり、小麦が違って麺が細くなっていくそうだ。スーパーでよく見る赤帯は、上級品で下から2番目。紫の縒(より)つむぎは上から3番目、黒帯が2番目。値段が違い、上ほど高価格だ。

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黒帯を製造から1年以上熟成させたものは「古」と書いて「ひね」と読み、黒帯のさらに上の高級品。

それにしても大量の揖保乃糸を買う播州の人々は、余ったそうめんどうするの?たつの市のあるお宅では、そうめんをフライパンで焼いてチーズをかけ、そうめんガレットを作っていた。これは子どもたちも大好きだね!またそうめんを揚げ焼きにして具入りのあんをかければ、皿うどんならぬ皿そうめんができた。いろんな食べ方があるもんだ。

播州では室町時代からそうめんを作っていた。真ん中を流れる揖保川から揖保乃糸と名付けられ、揖保川の軟水と、地元の小麦に赤穂の塩で独特なそうめん作りが育ってきたのだ。

揖保乃糸で育ってきた播州の皆さんは、7種類ある揖保乃糸を食べれば、どれがどの等級か当ててしまった。さすが!我々も揖保乃糸の7種類を食べて、見分けられるようになりたいね!