大谷翔平のドジャースに新たな”天敵”が…?ポストシーズン前哨戦で見えた「…

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 大谷翔平選手が属するロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズ進出へ立ちはだかる高い壁が、7月に3連敗を喫したフィラデルフィア・フィリーズだ。8月のホームでリベンジを果たしたかったところだが、大谷選手に対する見事な投球が勝敗の分岐点のひとつになった。そこで今回はフィリーズとの3連戦の結果を分析した。(文:島倉孝之)

”ポストシーズン前哨戦”第2ラウンドの行方は…?
 
 現地時間8月5~7日に、ドジャースはホームでこのフィリーズとの3連戦を迎えた。ドジャースの後半戦最重要カードともいえるこのカードと、ここでの大谷翔平選手の結果に焦点を当てる。
 
 このフィリーズ戦の重要性については、以下にまとめられる。
 ・ポストシーズンでの対戦可能性が高く、勝たなければワールドシリーズに進めない
 ・その相手に、フィラデルフィアで7月に3連敗を喫した
 ・苦手意識を持ったままでのポストシーズンでの対戦は避けたい
 ・ポストシーズンでのホームアドバンテージで優位に立ちたい
 

 
 この連戦直前の現地時間8月4日終了時点で、ナショナルリーグ全体の勝率は1位フィリーズ、2位ドジャースだった。
 
 この状態でシーズンを終え、両チームとも勝ち進めば、リーグチャンピオンシップでこの2チームが対戦、その初戦は勝率上位のフィリーズの本拠地フィラデルフィアになる。フィリーズに勝たねばならないドジャースにとって、少しでも優位にポストシーズンを迎えたいところだ。
 
 一方、7月のフィラデルフィアでの3連戦では、ドジャースは計5点しか取れず、フィリーズの先発3人に全て勝ち星がつく(うち2人はクオリティ・スタート)など完敗の内容だった。同様の内容で今回フィリーズに負け越せば、苦手意識を持ってポストシーズンで対戦しないといけない。
 
 7月と8月の3連戦の間の大きなイベントが7月末のトレードデッドラインである。この直前に積極的補強を行ったドジャースは、8月3連戦の時点で、ベンチ入り26人中4人がトレード獲得選手となった。この間先発投手のクレイトン・カーショー投手も復帰した。
 
 しかし、両チームとも8月の3連戦前は苦戦中で、3連戦直前の10試合の成績は、ドジャース4勝6敗、フィリーズ2勝8敗だった。両チームにとって浮上の契機にしたい連戦でもあった。
 
 こうした状況で迎えたホームでの3連戦の結果は、ドジャースの1勝2敗に終わった。初戦こそフィリーズ先発アーロン・ノラ投手から4点を奪い、先発タイラー・グラスノー投手が6回3失点に抑えて勝利したが、2戦目はフィリーズ先発クリストフェル・サンチェス投手に抑え込まれ、3戦目は先発ギャビン・ストーン投手が3点のリードを守り切れなかった。
 
 ドジャースにも好材料はある。復帰直後のフレディ・フリーマン選手が12打数4安打3打点の活躍を見せ、投手陣はフィリーズの主軸を打つブライス・ハーパー選手、トレイ・ターナー選手をいずれも14打数3安打、打点0に抑え込んだ。
 
 なお、フィリーズにとっては、この結果がドジャースとの7月の3連戦以来のカード勝ち越しとなった。





大谷翔平から主役の座を奪ったのは…

 この3連戦においては、以下の2つの数字が勝敗を決めたかもしれない。同じ打順、ポジションの選手のものだ。
 
 ・12打数7安打 4本塁打 9打点 5得点 2四球 1盗塁
 ・12打数2安打 1本塁打 2打点 1得点 0四球 1盗塁
 

 
 どちらもこの3連戦での「1番DH」の数字である。上はフィリーズのカイル・シュワーバー選手、下は大谷選手のものだ。
 
 ドジャースが勝利した初戦では大谷選手が本塁打を含む2長打を記録したが、フィリーズが勝利した2試合に限れば、シュワーバー選手が4本塁打を打ったのに対し、大谷選手は一度も出塁できなかった。
 
 この2人の差がそのまま勝敗に直結し、同じ1番DHのシュワーバー選手が大谷選手から主役の座を奪った。
 
 その大谷選手にとって、このシリーズのキーとなる打席が以下だったように思う。2戦目の7回裏2アウト1,2塁で、左腕のマット・ストラーム投手と対戦したものだ。
 

 ストラーム投手は初球から6球目まで高低をつけながら全てフォーシームで攻める。ここで7球目はボール気味のスライダーが来た。やや抜けた感じの比較的甘いコースの投球で、今年大谷選手が高い確率でヒットにしているコースでもある。
 
 しかし、6球続けられたフォーシームの後だったこともあり、タイミングが合わない。スイングのバランスが崩れてボールの下をたたき、高く上がったライトフライに終わった。
 
 ドジャースが敗れた2日間での大谷選手の9つのアウトのうち、ゴロアウトが4、ポップフライが2あった。捉えたゴロの打球は軒並み守備範囲に飛んでいた。フィリーズは、7月の対戦や本塁打を打たれた第1戦での対戦を経て、守備位置も含め大谷選手の研究を進めていた可能性がある。








ドジャースが勝ち進むためにはやはり…

 ドジャースはレギュラーシーズンでのフィリーズ戦6試合を1勝5敗で終え、今後に不安を残す結果となった。
 
 この6試合で大谷選手は打率.227、OPS.659に終わり、唯一チームが勝った8月の3連戦初戦を除けば長打はなかった。ただし3盗塁を記録している。まさに「大谷が打たなければフィリーズに勝てない」という結果になった。
 

 
 フィリーズ戦終了時点での大谷選手の8月の数字は打率.192、OPS.676にとどまっていたが、ミルウォーキー・ブルワーズ戦では2試合連続本塁打を放った。ドジャース全体としてもムーキー・ベッツの復帰後は勝ち星が先行しており、徐々にチーム状態は上向きつつある。
 
 しかし、同地区のサンディエゴ・パドレス、アリゾナ・ダイヤモンドバックスも快進撃を見せており、シーズン中盤までの「独走状態」とは言えないゲーム差まで迫っている。8月はポストシーズン進出圏内の厳しい相手との対戦が多い。今後、山本由伸投手らがチームに復帰する中、ポストシーズンでフィリーズにリベンジを果たしワールドシリーズ出場を果たせるか…これから正念場がやってくる。
 
 「ドジャースのワールドシリーズ進出には大谷選手の活躍が必要」これを証明した8月のフィリーズとの3連戦だった。


 
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【了】