第83期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、3回戦全17局中16局の一斉対局が8月6日(火)に各地の対局場で行われました。このうち、都成竜馬七段―斎藤明日斗五段の一戦は107手で斎藤五段が勝利。新手メーカーの工夫を粉砕して開幕からの連勝を3に伸ばしました。

都成七段の注文

都成七段はC級1組在籍7期目。負け越しのない安定した成績で、昨年は8勝2敗の好成績で昇級にあと一歩のところまで肉薄しました。対する斎藤五段はC級2組からの昇級後2期目の参加。こちらも昨年は7勝3敗と好調で、都成七段とともに昇級争いを演じました。

後手番で迎えた本局、都成七段は大胆な趣向を披露します。狙われた角頭を一切気にせず9筋の端歩や飛車側の駒組みに手をかけたのがそれで、スキありと見た斎藤五段が2筋の歩交換に出たことで盤上は大乱戦へ。開始8手目にして新手を出した都成七段がまずは注文を通した形です。

勝敗分けた飛車の働き

意表の力戦策に直面した斎藤五段ですが、ここから地力を発揮します。あえて敵角を自陣に成りこませたのが読みの入った応手。直後の桂捨てで竜の利きを通しつつこの馬を素抜く筋があって、ここは先手が一本取りました。斎藤五段は竜を敵陣に侵入させてなおも攻め続けます。

なんとか反撃を試みる都成七段に対して斎藤五段は緩急自在の指し回しでリードを拡大します。9筋に香を打って飛車取りとしたのがそつのない利かし。以降、後手の飛車が日の目を見ることは最後までありませんでした。これにより斎藤五段は攻めに専念できます。

終局時刻は23時30分、最後は自玉の受けなしを認めた都成七段が投了。「新手メーカー」の大胆な序盤策を丁寧な読みでいなした斎藤五段の快勝譜となりました。勝った斎藤五段は開幕3連勝の好スタート、敗れた都成七段は1勝2敗の苦しい星取りとなっています。

水留啓(将棋情報局)

  • 昨年は開幕4連勝だった斎藤五段、今年はどこまで星を伸ばせるか

    昨年は開幕4連勝だった斎藤五段、今年はどこまで星を伸ばせるか