邦画実写歴代No.1のオープニング記録(※金土日3日間興収・興行通信社調べ)で、興収100億円を目指せる大ヒット中の映画『キングダム 大将軍の帰還』。原泰久氏による大人気漫画を実写映画化した『キングダム』シリーズの最終章で、紀元前、中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年・信と、中華統一を目指す若き王・エイ政の物語を壮大なスケールで描いている。

『キングダム』シリーズは、脚本家の黒岩勉氏、佐藤信介監督に加え、原作の原氏が脚本に入っていることも特徴だ。今回は、信役の山崎賢人(※崎はたつさき)、エイ政役の吉沢亮にインタビューし、原作者からの熱い言葉について語ってもらった。

  • 山崎賢人、吉沢亮

    左から山崎賢人、吉沢亮 撮影:宮田浩史

『キングダム』シリーズに脚本としても関わる原作者・原泰久氏

――シリーズを通して原作の原先生が脚本に関わっていますが、先生とのお話で印象に残っている言葉はありますか?

山崎:いっぱいあります。先生って、これだけ熱い作品を描かれているのに、ストーリーも緻密で、脳内でクールに考えられているんです。お会いした時にも、理論的に「映画としては、こういうことが大事だと思ってて」とすごく考えてくださっていて、しかもそういう中で「信は賢人君しかいない」と言ってくださって。1作目をやった時には「原作のシーンより魅力的だったよ」とおっしゃっていて、すごく嬉しかったです。その言葉を活力に、「もっと頑張ろう」と、シリーズを積み重ねて挑めました。本当に、すごく素敵な先生ですよね……。

吉沢:本当に、そうだよね。

山崎賢人、吉沢亮

山崎:ただ、1作目の漂が死ぬシーンをやる前に、先生から「あれって泣けるの?」と言われた時は「……頑張ります!!」しか言えなかったです(笑)。たぶん単純に「涙が出るような感情って、どうやって作っていくの?」みたいな疑問から出てきたものだったと思うんです。リアルにやっていくのか、技術で泣くのか、みたいな。でも「あのシーンは肝だから」「ここがうまくいけば、映画はうまくいくと思う」ともおっしゃってたので、「いいシーンにしないと」って、プレッシャーがやばかった!(笑) だからこそ、気合いが入りました。「うまくできそう?」と聞かれて、僕は先生に安心していただきたかったから「頑張ります!」と答えたんですけど、本当は余裕なかったです。

――結果、名シーンになりまして。

山崎:頑張りました!

――吉沢さんはいかがでしたか?

吉沢:僕はやっぱり、3作目で紫夏編をやる時のことが思い出に残っています。原作の原先生が企画段階からガッツリ入ってくださっている中で、「そもそも紫夏編をやるのかどうか」という話になっていたらしくて。僕はもう、1作目を撮っている時から、プロデューサーの松橋さんに「紫夏編をやるなら、子役じゃなくて絶対に僕がやりたい」と言っていたんです。多分、そういう思いも汲んでくださって、僕としても「それだけ言っちゃったからにはやらなきゃ」みたいな思いがありました。設定上では9歳なので、1作目でも子役の子が演じているくらいの時期じゃないですか。それでも自分が「やりたい」と言ったから、変になったらどうしよう、みたいなプレッシャーがあったんですけど、先生とご飯に行った時に「吉沢くんがやってくれたことが大正解だった」と言ってくださって、めちゃくちゃ嬉しかった。原作の先生がこれだけ関わってくださっているのはすごく心強いし、ファンの方にも納得いただけて、いいものができると思いました。

  • 吉沢亮
  • 吉沢亮

山崎:紫夏編は、政の成長スピードが、信と漂よりめっちゃ早かった説もあるよね。

2人:(笑)

山崎:すさまじいことを経験して、急激な成長を遂げてるのかも(笑)

吉沢:4歳ぐらいからもう肩幅広くなってて(笑)

山崎賢人・吉沢亮の細かすぎる注目ポイント

――今作の中で「実はここに注目してほしい」という細かすぎるポイントもぜひ教えてください。

吉沢:王座に座る前に衣装をバサッとする動きは、現場でやってて「いいな、これ」と思って、味を占めて座るたびに絶対やってたんですけど、実際に完成した作品を観た時は「ちょっとやりすぎたな……」と思いました(笑)

山崎:でも、あれは政にしかできないからね!

吉沢:バサッ! って(笑)

山崎:僕は、信がホウ煖(吉川晃司)に吹っ飛ばされて気絶しちゃったシーンです。バケモンみたいな超最強の敵のホウ煖に対して、飛信隊のメンバーがみんなで信を守るために盾になるシーンがあって、原作でもめっちゃ好きな場面で。その時、信は気絶してるんですけど、「いいシーンだな」と思ってたら、涙がダラーって流れてしまいました。

  • 山崎賢人
  • 山崎賢人

――それはスクリーンに映ってはいないんでしょうか?

山崎:みんなが隠してくれている時なので、たぶん映ってないんです。だからこそ「ええ、何このいいシーン……」と、涙が……。でもそれって、きっと信としての気持ちだったなと。こんなにみんなが守ってくれて、信もあの時に気絶してなかったら、きっと泣いていたと思います。

■山崎賢人
1994年9月7日生まれ、東京都出身。2010年に俳優デビューし、2015年の映画『ヒロイン失格』『orange-オレンジ-』で第39回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞する。2024年には『キングダムシリーズ』シリーズで第23回ニューヨーク・アジアン映画祭(英語版)「The Best from the East Award」を日本人初受賞した。近年の主な出演作にドラマ『アトムの童』(22年)、『今際の国のアリス』シリーズ(20年~)、映画&ドラマ『ゴールデンカムイ』シリーズ(24年~)、『陰陽師0』(24年)など。ヘアメイク:高橋幸一(Nestation)、スタイリスト:伊藤省吾(sitor)

■吉沢亮
1994年2月1日生まれ、東京都出身。2010年に俳優デビューし、2019年に『キングダム』で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞などを受賞。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務める。近年の主な出演作に、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(22年)、映画『ブラックナイトパレード』では主演を務めた。近年の出演作に『キングダム2 遥かなる大地へ』(22年)、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ(21年~23年)、『ファミリア』『かぞく』(23年)など。公開待機作に『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(9月20日公開)、『国宝』(25年)がある。ヘアメイク :小林正憲(SHIMA)、スタイリスト:荒木大輔