第18回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は一次予選が進行中。7月23日(火)には計2局が東京・将棋会館で行われました。このうち、第3ブロックの石井健太郎七段―高橋佑二郎四段の一戦は72手で石井七段が勝利。新鋭を封じて枠抜けまであと2勝としました。

アクセル全開 攻める青春

高橋四段は千葉県出身の25歳。順位戦では2連勝スタートを飾るなど、デビューから好調を維持しています。本局はその高橋四段が相掛かり空中戦から攻める展開に。いきなり左桂を盤上中央に跳ね出したのがその始まりで、こうなるともうブレーキは効きません。

強引に飛車交換を果たした高橋四段は、この桂を成り捨てたのち角まで切り飛ばして攻撃続行。大きな駒損ながら手持ちの飛車を後手陣に打ち込めば攻めが続くという大局観でしたが、実戦はここから後手の石井七段の懐深い指し回しが光ることになりました。

渋い受け 受け止めた猛攻

攻めが一段落した段階でじっと4筋の歩を突いたのがプロ好みの味わい深い受け。飛車の横利きがスーッと左辺まで通って大駒を狙われる心配がなくなりました。高橋四段は手番を得たものの、大駒をすべて失った損失は大きく攻めをつなぐのが困難な状況です。

終局時刻は11時27分(持ち時間各40分)、最後は攻防ともに見込みなしと認めた高橋四段が投了。盤上で暴れる新鋭に対して最後まで丁寧に面倒を見た石井七段の快勝譜となりました。勝った石井七段はブロックベスト4に進出、次戦で谷合廣紀四段と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 公式戦の連敗を2でストップさせた石井七段は復調の兆し

    公式戦の連敗を2でストップさせた石井七段は復調の兆し