総合海洋政策本部、国土交通省、日本財団は、海洋についての国民、特に、次世代を担う青少年の理解と関心を一層深めるため、2024年7月15日、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」である「海の日」を記念する「海の日記念行事2024」を、東京国際クルーズターミナルにて開催した。

  • 東京国際クルーズターミナルにて「海の日記念行事2024」を開催

「海の日記念行事2024」では、「海の日プロジェクト in 青海」として、東京国際クルーズターミナルにおいて、海上保安庁 測量船「光洋」や商船三井 自動車船の一般公開が行われたほか、海上保安庁音楽隊や海上自衛隊東京音楽隊によるコンサート、日本海洋少年団連盟による「手旗信号」の披露、さらには各団体によるブース展示などが行われた。

  • 海上保安庁 測量船「光洋」

  • 商船三井 自動車船

「海の日記念行事2024」の冒頭に行われたオープニングセレモニーでは、主催者を代表して、政府における海洋政策の司令塔として取り組む、松村祥史海洋政策担当大臣が登壇し、開会の挨拶を行った。

  • 松村祥史海洋政策担当大臣

管轄海域が国土の約12倍におよび世界第6位の面積を誇る日本は、世界でも有数の海洋国家として、海から多大な恩恵を受けながら発展。近年でも、レアアースをはじめとする資源開発、海事産業や洋上風力発電などの産業活動、さらには新技術活用のフロンティアとして、ますますの注目を集めている。このような中、今年4月には「海洋開発等重点戦略」が決定され、国益の観点から府省横断的に取り組みべき重要ミッションについての戦略が示されている。

「我が国が海洋分野におけるトップランナーであり続けるため、その実現に向けた取組みを確実に進めてまいる所存」と話す松村大臣は、「海事産業の持続可能な発展のためには、それを支える人材の育成や海洋教育の推進が極めて重要」と強調。今回のイベントにおける展示ブースや体験乗船はもちろん、全国各地で実施されている多数のイベントにおいて、若い世代を中心とする幅広い国民に、「あらためて海の魅力や、その恩恵、重要性を実感していただければ」と期待を寄せ、「海の日記念行事2024」の開会を宣言した。

続いて、総合海洋政策本部長である岸田文雄内閣総理大臣からのビデオメッセージを上映。四方を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する日本にとって、「経済社会の存立と成長の基盤として、『海』を活かしていくこと、そして人類の存続基盤として『海』を継承していくことは非常に重要なテーマ」という岸田総理は、海の恵みを子孫に引き継ぎ、海洋立国を実現するためには海洋人材の育成・確保が重要であり、子どもや若者が海に親しみを持ち、海洋開発、開運・造船などの海に関わる産業の魅力などに関心を持つためには、「海の日」が良い機会になることに期待を寄せる。

  • 岸田文雄内閣総理大臣からはビデオメッセージが寄せられた

岸田総理が本部長を務める総合海洋政策本部では、今年4月に「海洋開発等重点戦略」を決定したほか、小笠原小笠原海台海域において、国連海洋法条約に基づく延長大陸棚を設定する政令案を閣議決定。物流「2024年問題」への対応としては、内航海運がモーダルシフトの受け皿としての役割を果たすことができるように、今年2月に決定した「2030年度に向けた政府の中長期計画」などに基づき取組みを進めていくなど、政府としての海洋政策への対応を紹介。

最後に、「海のもたらす恩恵に感謝するとともに、海洋国家・日本、そして世界の益々の平和と繁栄を願い、海洋政策を着実に進めていくこと」を約束し、本年の「海の日」のメッセージとした。

そして、我が国の暮らしを支える海運、船舶、船員など海事行政全般を所管し、また広く国民が海に親しめるよう、「C to Seaプロジェクト」に取り組む国土交通省からは、斉藤鉄夫国土交通大臣が登壇して挨拶を行った。

  • 斉藤鉄夫国土交通大臣

「1876年に明治天皇が東北巡行の帰り道、青森から灯台巡視船『明治丸』に乗船し、7月20日に横浜港に無事に到着された」という「海の日」の由来となる故事を紹介し、「国土交通省では、海洋国家で暮らす私達の生活に欠かすことのできない海や海の仕事について、広く国民の皆さん、特に次世代を担う小中学生の皆さんに対し、様々なイベントを通じて、理解と関心を深めていただけるよう努めているところです」とその活動を報告する。 自動車運搬船や測量船など普段はあまり見られない船の一般公開、各種ステージや展示ブースなど、海に関わる様々な体験やイベントを通して、「海や海の仕事を身近に感じ、知っていただくことにより、さらなる海への興味、関心を持っていただくこと」を期待し、挨拶を締めくくった。

続いて登壇した、海洋教育の推進、海事振興のための活動を展開する赤池まさあき参議院議員が属する「海事振興連盟」は、350人以上が所属する超党派の議員連盟で、最大かつ、歴史的にも一番古い議員連盟となっている。

  • 赤池まさあき参議院議員

安倍元総理が総理時代、2025年を目処に、すべての小中学生に海洋教育を推進するという宣言を出したことを引き合いに、「この素晴らしい海に学び、そして海を活かして、我が国が海洋国家であることをすべての子どもに知ってもらいたい」との意欲を示す。

さらに、現在は7月の第3月曜日となっている「海の日」を、観光関係との話し合いは必要としながらも、「この素晴らしい海洋国家をもっともっと発展させるために」、本来の日付である「7月20日に固定したい」との意気込みを明かした。

●17団体がブース出展

「海の日記念行事2024」の会場となった東京国際クルーズターミナルには、17の団体がブースを出展。ここではその一部を紹介しよう。

  • 17団体がブースを出展

  • 「日本船主協会」ブースでは、VRゴーグルを使って海運を紹介

  • 「日本内航海運組合連合会」ブースでは、内航海運業のPRのほか、ぬり絵ペーパークラフトによるワークショップが展開された

  • 「日本旅客船協会」ブースでは、船の御朱印「御船印」を紹介。2021年からスタートしたプロジェクトだが全国100以上の船会社が参加している

  • 「商船三井」ブースでは、世界初のウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載した石炭輸送船「松風丸」の模型を展示

  • タオルでおなじみの今治は、日本最大の「海事都市」としての側面をアピール

  • 「日本潜水協会」ブースでは、実際に使用されている潜水士のヘルメットなどを展示

  • 「津波救命艇の普及を進める会」ブースでは、津波避難設備として普及が進む「津波救命艇」の模型を展示

  • 「内閣府 総合海洋政策推進事務局」ブースでは、「特定有人国境離島地域」に関する取り組みを紹介

  • 「防衛省自衛隊東京地方協力本部」ブースでは、南極観測船の運用を海上自衛隊が行っていることから、南極の氷や石を展示