大阪・関西万博の公式アプリである「EXPO2025デジタルウォレット」に決済機能「ミャクペ!」やポイント機能「ミャクポ!」などが追加され、万博会期までのさらなる盛り上げを目指して決済機能が利用可能になっています。今後、さらに万博の気運を高めるため、機能やサービスの追加を図っていく意向です。
複数の金融機関と協業した「EXPO2025デジタルウォレット」
大阪・関西万博は全面的なキャッシュレスを導入した初の万博ということで、キャッシュレスに関する取り組みを進めています。その中で「EXPO2025デジタルウォレット」アプリが開発されました。昨年11月から提供を開始していますが、さらなるサービス開発に向けて複数の金融機関と金融コンソーシアムを結成していて、今回の新サービスの追加となりました。
電子マネーサービス「ミャクペ!」は顔認証決済に対応
「ミャクペ!」は決済機能として三井住友フィナンシャルグループが開発した電子マネーサービス。銀行口座やクレジットカードでチャージをする前払式支払手段で、残高の範囲内で決済利用ができます。
Visaのタッチ決済とiDに対応しているため、スマートフォンのタッチによる支払いが可能で、Visaの加盟店やiD加盟店で決済できます。これは万博の会期以前から、万博会場以外のすべての加盟店で利用できるため、すでに色々な場所で利用できます。
ミャクペ! にはQRコード決済機のもあり、これはミャクペ! のQRコードを読み取ってスマートフォンで支払いをするMPM方式を採用。万博会場内の店舗などで利用可能なほか、万博会場外では公式ショップのあべのハルカス店でも利用可能になる見込み。今後、アプラスが加盟店開拓を担当し、会場外でもミャクペ! のコード決済が利用できる店舗を広げていく計画。
最大の特徴が顔認証決済に対応している点。あらかじめEXPO2025デジタルウォレットアプリで顔を登録すると、決済端末のカメラで顔を写すだけで決済でき、手軽な決済が実現できます。実験的な決済手段のため、これは万博会場内での利用になる見込みです。
顔認証は定評のあるNECの技術を採用。万博会場内の決済端末に採用されたSMBCのstera terminalのカメラで読み込む形で実現していました。三井住友フィナンシャルグループ執行役員専務の磯和哲雄氏は、「日本国内のデータセンターに暗号化して情報を保存。セキュリティ基準を満たした対策を実施している」とアピールします。
ミャクペ! は事前にチャージする電子マネーですが、仮に会場内で使い切れなくても、会場外でVisaのタッチ決済などで支払いに使えるため無駄にならない、という点もアピールされています。
万博やSDGsにまつわる行動でポイントが貯まるプログラム
三井住友フィナンシャルグループはさらに「ミャクミャクリワードプログラム」も開発。まずはミャクペ! へのチャージでステータスがアップし、万博オリジナルNFTを獲得できます。
さらに第2弾では「ミャクポ!」を登録したり、入場チケットを入場したり、万博イベントに参加するといった行動でステータスアップし、パビリオンに入場できる、特別なガイドツアーに参加できるといったオリジナルの体験やサービスを獲得できるとしています。
ミャクポ! はりそな銀行らが開発したポイントサービスですが、いわゆる決済に伴うポイント付与ではなく、オンライン、オフラインの特定の行動でポイントが貯まる仕組みです。オンラインではPontaやWESTERといった既存のポイントからの交換、協力会社・機関のキャンペーンへの参加、リアルでは特定のイベントへの参加や店頭でのSDGs行動で、提示されたQRコードを読み取ると貯まる、といった仕組みになっています。
現在は、大同生命のKENCO SUPPORT PROGRAMへの参加や大阪・岸和田市の大阪・関西万博応援イベントの参加でポイントが獲得できます。こうしたミャクポ! が貯まるイベントや企画は、今後順次拡大していく予定だとしています。
貯まったミャクポ! は、オリジナルグッズとの交換、万博入場チケットとの交換などに加え、「会場内での特別なサービスも用意する。ポイント交換でミャクミャクに会えたりゲームができたり、舞台裏のツアーも企画中」とりそな銀行執行役員の川邊秀文氏。オリジナルグッズの交換などは万博開始前から交換可能で、ギフトパッドの景品交換店舗をKITTE大阪にオープンする予定としています。
なお、ミャクポ! は三菱総合研究所の「Region Ring」をプラットフォームとして採用して開発されています。
NFT「ミャクーン!」で"未来のコレクション"を
さらにNFTの「ミャクーン!」もスタート。SBIグループによるもので、「万博で未来のコレクションを作りたい」(SBIホールディングス執行役員藤本守氏)と意気込みます。ミャクーン! はキャンペーンや抽選などでもらえる数量限定NFTの提供に加え、自分のお気に入りの画像をアップロードすることでオリジナルのNFTを作成できる機能も用意。NFTに関して、「安心してコストもかからず、気負わずに気軽にNFTをコレクションとして集めてほしい」と藤本氏はアピールします。
EXPO2025デジタルウォレット自体の機能向上として、「トークンディスカバリープログラム」の提供も開始。ソウルバウンドトークン(SBT)を活用した会員証サービスで、来店数に応じてランクがアップして限定ガチャに挑戦できるなどの機能が提供されます。
さらに「バッジトークントレーディング」機能も提供します。SBTを別のユーザーにシェアすることで同じデザインのSBTがコピーされることで、SBTを拡散して万博の気運を盛り上げることを狙います。
「万博を取り巻く活動のハブに」
アプリ開発のHashPort代表取締役CEOの吉田世博氏は、EXPO2025デジタルウォレットアプリを「決済のためだけでなく万博を取り巻く色んな活動のハブになっていけたら」と話し、会場内だけでなく周辺地域への周遊や再訪にまで繋がる取り組みにしていくことを目指します。
なお、それぞれのサービスは基本的に万博会期終了までの提供ですが、例えばミャクペ! は会場外でも使えるので使い切れるという判断。また、その経験は今後のサービスに生かす考えで、特に顔認証決済は、万博内外での顔認証の定着度具合で次の展開を検討していきたい、と磯和氏は話します。
ミャクポ! は会期後の期限で失効しますが、残ったポイントは特定の団体などに寄付をすることを検討しているそうです。ミャクーン! は、SBIグループが引き継いで、デジタルコレクションを継続して持ち続けられるような受け皿を用意したい考えです。