ホンダの新型「フリード」には、新たなタイプとして「ユニバーサルムーバー」なる車種が登場するという。コンパクトミニバンとしての広い室内を活用して、さまざまな人やモノを乗せて走るまさにユニバーサルな乗り物になるようだが、その正体とは? 実物を見てきた。

  • ホンダの新型「フリード」

    新型「フリード」の「ユニバーサルムーバー」とは?

福祉車両のイメージを変える?

新型フリードでホンダは、従来であれば「福祉車両」と呼んでいたタイプの車種を「ユニバーサルムーバー」と呼ぶことにしたそうだ。担当者によると「福祉車両という言葉からは、ネガティブなことを連想してしまう方がいらっしゃいます。例えばベース車両より70~80万円くらい高くなる、介護にしか使えない、介護の用途で使わなくなったら意味がなくなる、コスパもタイパも悪い、といったイメージです」とのこと。そんな先入観を払しょくするため、新型フリードの福祉車両タイプは、介護「にも」使えるし、買い物やアウトドアも楽しめるユニバーサルな乗り物として打ち出すそうだ。

そんなイメージに合うように、ベース車両には「クロスター」を選んだ。

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  • 新型フリードには「エアー」(AIR、写真左)と「クロスター」(CROSSTAR、写真右)の2タイプがある。パワートレインは「e:HEV」搭載のハイブリッド車とガソリンエンジン車、価格は250.8万円~343.75万円。クロスターは専用のフロントバンパー、フロントグリル、ルーフレールなどを装着するアウトドアテイストなフリードだ

新型フリードのユニバーサルムーバーには「スロープ車」と「リフトアップシート車」がある。リフトアップシート車は助手席が電動で外に出てくるタイプで、車いすから移乗しやすく、杖を使う人でも乗り込みやすい。シートは電動でスライドおよびリクライニングが可能だ。

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    新型「フリード」の「リフトアップシート車」は299.5万円。ベース車両はクロスターのガソリンエンジン車(FF)、乗車定員は6人だ。助手席用のモーターがハイブリッドシステムの機構と場所的に干渉してしまうため、ハイブリッド車にリフトアップシート車を設定することはできないらしい

アイデア次第で広がる使い方

「スロープ車」はいわゆる「車いす仕様車」だ。テールゲートを開いて「スーパーフレックススロープ」を展開すれば、車輪の付いたものを車両後部に載せやすい。標準装備の「電動ウインチ」(速度調整機能・進路補正付)を使えば重い人・モノでも楽に載せられる。

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    新型「フリード」のスロープ車はハイブリッド車が329.5万円、ガソリンモデルが297.7万円。通常時は5人乗り、車いす乗車時は6人まで乗れる

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    電動ウインチを使って車いすを載せているところ。ウインチがベルトを巻き込みつつ車いすを引っ張り上げてくれる。手動で載せる場合でもベルトを巻き込んでくれるので、後ろに転がり落ちてきてしまう心配がない。リアクーラーとリアヒーターダクトが付いているので、車いすの人も季節に関わらず快適に移動できるはずだ

スロープ車の後ろに載せられるのは車いすだけではない。買い物用のカートやキャンプなどでたくさんの荷物を運べるワゴン、「ストリーモ」を含む電動キックボード、小型の電動モビリティなどなど、いろいろなアイテムを積載可能だ。

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  • キャンプに持っていくワゴンを載せたり、ホンダの技術者が開発した立乗り三輪モビリティ「ストリーモ」を載せたり。荷物満載のワゴンをそのまま積んで目的地に向かって、帰りもそのまま積んで帰って来られるのは便利だ

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  • 格納したスロープは荷室を仕切るボードとして使える。耐荷重200kgのアルミ製だから、上に重いモノを載せても問題なし。下のスペースにはホンダの折りたたみ可能な電動バイク「モトコンパクト」を収納してある

「ベース車両よりも快適で使い勝手のいいクルマを目指しました」というのがスロープ車の開発に携わったホンダ担当者の言葉。例えばスロープ車には、クロスターの5人乗りには付いていない「リアクーラー」を搭載した。車いすに座ってスロープ車に乗る場合、着座位置はフリードでいうと3列目くらいの位置になる。車両後部に乗る人の快適性向上のため、リアクーラーを取り付けたそうだ。もちろん、前席と後席に計4人で乗ったとしても、リアクーラーの恩恵は受けられる。

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  • テールゲートを閉じればベース車両と見た目が変わらない(ユニバーサルムーバー=福祉車両だからといって見た目的に特別なところがない)ところも特徴だ

フリードのユニバーサルムーバーは、遊びの相棒や日常生活のパートナーとしてクルマを活用する人たちにも役に立つ機能が満載のクルマだった。