映画『ブルーピリオド』(8月9日公開)で監督を務めた萩原健太郎氏が18日、都内で行われた同作のティーチインイベントに出席した。

  • 映画『ブルーピリオド』でメガホン取った萩原健太郎監督

渋谷のシーンは「本当に撮影」

同作は、累計発行部数700万部を超える山口つばさ氏の人気漫画を実写化した青春感動ムービー。からっぽだった高校生・矢口八虎(眞栄田郷敦)が、1枚の絵をきっかけに美術の世界に本気で挑み、国内最難関の美術大学を目指して奮闘する姿を描く。

「原作を読んで、すごく面白かった」という萩原監督は、「ただ、“絵を描く”ということをどう映画にすればいいのか悩みました」とオファー時を回顧。原作者である山口氏の「芸術という一見わかりづらいものを、ある種のスポ根としてわかりやすく描きたかった」という言葉に共感し、「この原作を映画に昇華できたら、すごく新しいものになるだろうと思った」と語った。

同作には、眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりら、若手俳優が集結。主演を務めた眞栄田について、「二次試験の最後のシーンで、それまで培ってきた技術を1カットで撮ろうという話になった」と明かしつつ、「描き切ったあとの八虎の顔は鳥肌ものだった」と大絶賛。その後の重要なシーンでも顔の寄りを撮影するか悩んだというが、眞栄田に「二次試験の顔以上のものにならない」と言われて撮影をやめたというエピソードを打ち明け、「キャストとの議論が、この作品の良さにつながった」と振り返った。

また、絵を描くシーンでは、「手元の吹替えを一切使わずにやりたかった」というこだわりを見せ、実際に絵画レッスンを重ねたことで、「微妙な視線とか、描き方にリアリティが出た」と自負。続けて、渋谷のシーンについて、「本当に渋谷で撮影するのは大変」だと前置きしながら、「絵というアナログなものを題材にしているからこそ、あまりCGを使いたくなかった」と、実際の渋谷を使った撮影だったことも告白。最後に、萩原監督は、「“いつもと同じ映画館なのに、外に出たときに何か景色が変わって、自分が好きだったことに情熱を燃やしたい”。そういう熱い気持ちになるような映画」だとアピールして締めくくっていた。