ロータス・エランとエミーラを冬眠させない理由はプラスチックにあり!|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。ハリーが冬の間も1973年ロータス・エランと2022年ロータス・エミーラだけは”冬眠”させずに乗り続ける理由とは?

【画像】冬の間に私を楽しませてくれるのは、エランとエミーラ、2台のロータスだけ(写真3点)

夏時間が終わり、英国の道路が少し冬らしくなり始めたら、クラシックカーをガレージに入れてトリクル充電器を取り付け、春が来るまで冬眠させる季節がやってきたといえるだろう。1960年代や70年代に製造された車は、塩が撒かれる冬の道路にさらされると急速に劣化してしまうので、そうすることをお勧めしたい。

危険にさらされるのは、ボディだけではない。つまり、サスペンション、サブフレーム、エンジン構造部などのすべての固定パーツが錆びてしまうと、あらゆる不具合の原因となる。通常のメンテナンスでさえもが、本当に厄介なことになる。

そのため、私の愛車コレクションのほとんどは、11月から4月にかけては外に出さない。というのも、地方自治体がここぞとばかりに、道路に塩を撒き散らして喜んでいるような時期だからだ。コレクションしている車の「ほとんど」と言ったのは、冬の間にもしまい込まない車が2台あるからだ。それは、1973年のロータス・エランと、2022年のロータス・エミーラだ。その理由を説明しよう。

まずエランの場合は、ボディがグラスファイバー製のため塩害の影響を受けない、という明らかな利点がある。しかし、ボディの下の機械部すべてに同じことが言えるわけではない。私が農業用マシン全車にも使用しているACF-50という防錆剤をエランにもたっぷり塗布することにしている。ただし、完璧な保護剤ではないので、塩が撒かれてびしょ濡れの道路をエランで走ることはない。でも、めずらしく道路が乾いていたり太陽が顔を出していたりする冬の日には、運転することにしている。

これをもう何年も使っているが、エランはよく持ちこたえているようだ。私のエランはスパイダーのシャシーということもあって1年中乗っている。きちんと亜鉛メッキを施したロータス製シャシーが手に入るうちに取り付けたいと思ってはいるが、スパイダーのシャシーはなかなか錆びないので、まだしばらくの間はこのまま過ごすことになりそうだ。

エランのもうひとつの大きな利点は、初めから通年走行を前提に設計された、非常にシンプルな車であることだ。走行に適した良好なコンディションを維持することが、容易なのだ。フォードベースのドライブトレーンは、一般的に部品供給に優れており、他の”華やかな”メーカーのものと比較して安価でもある。主なサスペンションパーツについても同様だ。ヒーターも優秀で、ライトは驚くほど良好、ワイパーもウォッシャーも問題なく効き、ロードホールディングもハンドリングも最高だ。なので、濡れた路面で運転するのは、少々楽しみでもある。

そして、それはロータス・エミーラにも当てはまる。エヴォーラの後継モデルとして登場したエミーラには、現代の車としては最高レベルのヘッドライトが装備されている。これは、夜間走行時に大いなる違いをもたらす。さらに、シートヒーター、クルーズコントロール、カープレイ(車内に入るとすぐつながる)などの現代的な装備に加え、トヨタ製V6スーパーチャージャーが奏でるサウンドトラックも素晴らしい。

エミーラが冬でも乗り続けられるもうひとつの良き理由は、エランと同様のプラスチック製のボディが、驚くほどに清潔に保たれることだ。その下には完璧にフラットなアルミニウム製のフロアがあり、大切な部分を冬の汚れから守ってくれる。ただ、アルミ製サスペンションのパーツは別かもしれない。それでも、エミーラも通年使用を想定して設計されているため、問題になることはないだろう。

というわけで、冬の間に私を楽しませてくれるのは、これら2台のロータスだけなのだ。

文:Harry Metcalfe