フォルタレーザに所属するヤゴ・ピカチュウ [写真]=Getty Images

 長年3部リーグを戦っていたフォルタレーザ(ブラジル)が、南米王者を夢見て戦っている。

 15日、コパ・スダメリカーナ2024グループD第5節が行われ、フォルタレーザはボカ・ジュニオルス(アルゼンチン)とボカのホーム“ラ・ボンボネーラ”で対戦。フォルタレーザでは2022年に清水エスパルスでプレーしたブラジル人MFヤゴ・ピカチュウが先発出場し、敵地での試合を1-1のドローで終えてグループ首位を堅持した。

 その試合に先立ち、『TNTスポーツ・ブラジル』は「セリエC(ブラジル全国選手権3部)からボンボネーラへ」と題し、フォルタレーザのCEO(最高経営責任者)を務めるマルセロ・パス氏のインタビュー動画を配信。そこでパス氏は「8年連続でセリエCを戦っていたクラブがボカと戦う。サポーターにとっても夢の1戦です」と語り、万年3部リーグだったフォルタレーザが、世界的にも有名なスタジアムでボカを相手に試合ができる喜びを語った。

 長年セリエCを戦っていたフォルタレーザだが、2017年にセリエB(ブラジル全国選手権2部)への昇格を果たすと、その翌年の2018年にはセリエBで優勝を達成。それ以降、パルメイラス、フラメンゴ、フルミネンセ、コリンチャンスなど名門がひしめくセリエA(同1部)を舞台に戦いを続けている。

 更に、2019年にはコパ・ド・ノルデスチ(ブラジル北東部ナンバーワンクラブを決める大会)で優勝を果たし、2021年にはセリエAで4位に食い込んで南米の国際大会であるコパ・リベルタドーレス出場権を獲得。すると2022年、初出場となったコパ・リベルタドーレス2022でベスト16まで進み、2023年には同じく南米を舞台にした国際大会コパ・スダメリカーナ2023で準優勝となった。

 この快進撃のキーマンが、2017年にクラブの会長に就任し、現在はCEOを務めるパス氏である。

 パス氏は昨年10月にブラジルのビジネス誌『ヴェージャ』に掲載されたインタビューで「私はサポーターとして、8年連続でフォルタレーザが3部リーグで戦うのを観客席から見ていました。ひどい時代でしたよ。フォルタレーザがライバルたちにバカにされ続けることに耐えられず、愛するチームのために何かしたいと考えました。そんな私は2014年にクラブ内で働き始めました。当時もまだチームは3部リーグでした。そして2015年、フットボール・ダイレクターに就任すると、2017年に副会長になり、その同じ年の年末に会長になったのです」と、自らの経歴を明かした。

 続けてパス氏は「以前のクラブはロッカールームからピッチに至るまで構造的欠陥を数多く抱えていました。私は、コーンやビブスなどのトレーニング用品を購入するための募金活動にも参加しました。グラウンドには排水設備がなかったし、アカデミーの施設はとても古いものでしたし、ミーティングルームは即席のものでした。選手たちが宿泊するホテルもひどかった。途中、度重なる経営難に見舞われて資金繰りが悪化し、私は自腹でクラブ運営のお金を工面したこともあります」とクラブの経営に参画以来、多くの困難を乗り越えてきたと語った。

 更にパス氏は、「以前のクラブ会員は7500 人でしたが、現在は 42000 人になりました」と話し、続けて「年間予算は2400万レアル(約7億2千万円)から3億レアル(約90億円)まで増えました」とクラブの成長規模を説明した。

 2017年に3部リーグを戦っていたフォルタレーザは、パス氏のもとで成長を続け昨年コパ・スダメリカーナ2023の決勝に進出。PK戦の末惜しくも優勝を逃したが、クラブは昨年果たせなかった南米王者の夢に向け今年も戦いを続けている。

【動画】「セリエCを戦っていたクラブがボカと戦う。サポーターにとっても夢の1戦です」と語るフォルタレーザのパスCEO