現在放送中のカンテレ・フジテレビ系ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(毎週月曜22:00~)で、病院の医療安全室長も務める“安全の鬼”看護師長の津幡玲子を演じる吉瀬美智子。先週4月29日放送の第3話では、津幡が患者の安全に固執する理由、悲しい過去が明かされ、SNSでは「過去の話聞いた時、泣けた」「とてもかっこよかった」「優しくて温かい人」とキャラクターに好感を抱く声が上がっている。
2023年も、ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ)、『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日)、『御手洗家、炎上する』(Netflix)や、映画『キリエのうた』など、たくさんの作品に出演した吉瀬。そして、ゲスト出演した『人志松本の酒のツマミになる話』では酒を飲んでの陽気なトークで反響を呼んだ。女優としての挑戦、バラエティ番組への挑戦について話を聞くと、仕事への真摯な姿勢が見えてきた。
2023年の女優業は挑戦の連続
――吉瀬さんは、2023年を振り返って「新たな事にチャレンジした年でもありました」とインスタグラムでコメントされていましたが、どんなことが挑戦でしたか。
まずは作品掛け持ちで同時に撮影したことが私にとっては挑戦でした。ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日)の判事役など、いろいろな役を演じた一年だったなと思います。実話をもとにしたドラマ『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』(テレビ朝日)も挑戦の一つで、実在される方を演じるのはすごくプレッシャーでした。私にはとても無理だと思ったのですが、お世話になっているプロデューサーさんからお声をかけていただいたので、頑張ってみようと。関西弁も難しかったですが、今となってはチャレンジしてよかったなと思います。
――こんなにキャリアを重ねられている吉瀬さんでも、「難しい役だな」「自分にできるかな」と不安になるんですね。
やっぱり、迷惑をかけたくないので。できることをちゃんと把握していないと、キャパオーバーしてしまって自分が壊れてしまいますしね。
バラエティ番組出演増も新たな挑戦
――今、新たに挑戦したいことはありますか。
昨年の終わり頃から、少しずつバラエティ番組に出演させていただくようになりました。これまでは番宣以外の出演をお断りすることもあったのですが、地元に貢献できたらと、4月からは福岡のバラエティ番組『じもちゃんねる』(テレビ西日本)にレギュラーで出演させていただいたり。いざ出演してみると新たな自分も発見できるので、今だからできる挑戦として、一つ先の扉を開いてみようという気持ちです。
――今までバラエティ番組にあまり出演してこなかった理由は。
役者にバラエティ番組でのイメージがつきすぎると、視聴者の方がドラマを見たとき、役として受け入れにくくなるのではという心配から、なるべく避けていました。でも年齢とともに、演じる役の幅も広がってきたので、親近感を持っていただけるような、私の素顔に近い一面を見せてもいいんじゃないかなと思い始めて。
『酒のツマミ』での姿に周囲から「素が出てたね」
――バラエティ番組の中でも、昨年秋に出演された『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)では、お酒を10杯飲んで陽気なトークを繰り広げる姿が大きな話題になりました。
お話が得意ではないので、キャラクターで盛り上げることができたらと思ってのことだったのですが……毎回見せる姿ではないと思っています(笑)。
――SNSでも、男女問わず「一緒に飲みたい」「かわいい」という声で大反響でしたが、吉瀬さんの周囲でもそんな反応はありましたか。
ありました。お友達からは「めちゃくちゃ面白かったよ」「素がまんま出てたね」って言われましたね(笑)。お酒を飲んで楽しくなっている姿は素に近いと自分でも思います。周囲でも「あの姿を見せたら、もっと幅が広がるのに」「もっと早くテレビであの姿を見せてほしかった」と言っていただいたのですが、実際にあの番組がきっかけで、これまでとは違うお仕事もいただけたのでありがたい機会でした。
――ではこれから、バラエティでも吉瀬さんの姿が見られる機会が増えるかもしれないということですね。
たくさん反響があって、私の素の部分を求めてくださっている方がいたんだと感じたので、出演後にどんな反応をいただけるか確認しながら、考えていきたいです。頻繁に出てしまうと、飽きられてしまうでしょうし。
――出るならしっかりと爪痕を残したいと。
見ていただく方の心に残るものがないと、出る意味がないと思うんです。何事も真剣にやっちゃうタイプなので(笑)。バラエティに出演させていただくからには、「面白かった」と言っていただけるようなことができたらと思っています。
――ドラマのオファーに対して「自分にできるかな」と不安を感じると仰っていたことと通ずる考えというか、吉瀬さんの、仕事への慎重で真摯な姿勢が感じられます。
不器用なので、『アンメット』で演じている津幡さんと同じでリスクヘッジしておきたいというか。どんなお仕事も、私がやることでどうなるのか、私じゃないほうがよかったと思われたらどうしようとか、マイナスなことも含めていろいろ考え抜いたうえで引き受けています。
――吉瀬さん自身も、津幡さんと同じ“安全の鬼”なんですね。そんな吉瀬さんは、お子さんとオンエアを見ることもあるとか。
見られるものは一緒に見ていますね。ドラマだと、子どもなりにハマる作品もそうじゃない作品もあって、途中で飽きて別の部屋に行ってしまうこともあるんです。今期の『アンメット』にはどんな反応をするのか、今から楽しみにしています(取材は放送前)。
1975年2月17日生まれ、福岡県出身。1999年にファッション雑誌『Domani』の専属モデルに。現在は女優業をメインに活動しており、2011年にはエランドール賞新人賞を受賞。近年の主な作品にドラマ『NICE FLIGHT!』『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』、『うちの弁護士は手がかかる』、『ゆりあ先生の赤い糸』、『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』、『御手洗家、炎上する』、映画『キリエのうた』など。公開待機作に、映画『帰ってきた あぶない刑事』(5月24日公開予定)、『明日を綴る写真館』(6月7日公開予定)がある。また、2024年4月よりテレビ西日本系バラエティ番組『じもちゃんねる』(毎週火曜20:00~)にレギュラー出演している。