第74期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は一次予選が進行中。4月30日(火)には計3局が行われました。このうち関西将棋会館で行われた都成竜馬七段―大橋貴洸七段の一戦(第9ブロック)は161手で都成七段が勝利。二次予選進出まであと2勝としました。

相居飛車の力戦形

本一次予選は16名前後からなるトーナメントを勝ち抜いた9名が二次予選に進むもの。都成七段は平藤眞吾七段に、大橋七段は糸谷哲郎八段に勝っての登場です。振り駒が行われた本局は先手の都成七段が雁木、後手の大橋七段が左美濃に組む力戦形に進みました。

仕掛けをめぐる間合いの計り合いののち後手の大橋七段が動きます。3筋の歩を突っかけたのは桂頭攻めから歩を入手する狙いで、先手の角の働きが弱い一瞬を突いて攻め込む意図。好機の仕掛けに思われましたが本局はここからの先手の都成七段の対応が光りました。

桂のスクランブル発進

取られそうな桂を開き直って差し出したのがうまい応手。瞬間的に駒損でも代償に得た数枚の歩を生かせば体力勝ちが見込めるという大局観です。ペースをつかんだ都成七段は金取りを手抜く驚きの好手で優位を拡大。自陣の嫌味をなくして模様のよさを具体化しました。

手番を握った都成七段は満を持して反撃を開始します。右辺に階段状に配備した3枚の桂が立て続けに敵陣攻略に出向くさまはさながら戦闘機の出動シーンのよう。終局時刻は16時18分、最後は自玉の詰みを認めた大橋七段の投了で都成七段の勝ちが決まりました。

勝った都成七段は次戦で船江恒平七段と顔を合わせます。

水留啓(将棋情報局)

  • 感想戦では中盤で先手が放った垂れ歩が大きな利かしになったとの結論に

    感想戦では中盤で先手が放った垂れ歩が大きな利かしになったとの結論に