第55期新人王戦(主催:しんぶん赤旗)は2回戦が進行中。4月13日(土)には斎藤明日斗五段―原司アマの一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、横歩取りの激戦を乗り切った原アマが138手で勝利。強敵に勝利してベスト16進出を決めました。
青野流を受けて立つ
本棋戦は26歳以下・六段以下の棋士を中心に争われるトーナメント。数名の女流棋士・奨励会員に加えて前年度の赤旗名人戦優勝者が参加権を得ます。原アマは1993年生まれ。居飛車党で、学生時代から埼玉県を中心に多くのアマ大会で輝かしい活躍を見せています。
振り駒が行われた本局は先手の斎藤五段が横歩取り青野流を選択。原アマが選んだのは2筋に歩を屈服する定跡で、持久戦への移行を目指します。駒組みが一段落した局面で原アマは積極的に仕掛けますが、斎藤五段がうまい受けを見せて中盤は先手不満ないわかれに。
勝負手実らせ原アマ勝利
平凡に指しては苦しいと見た原アマは勝負手を繰り出します。角金交換の駒損を甘受して飛車先突破を目指したのが実戦的な好手で、この手を境に形勢の針は徐々に後手に振れ始めることに。斎藤五段としては攻め合いの最中に潜んでいた受けの好手を逃した格好です。
桂を打って開き直った斎藤五段に対して原アマも控えの桂で応戦。ともに敵陣を狙う一手でしたが、こうなると玉の薄い先手陣は一手の受けが欠かせません。その後もねじり合いのなかで形勢が接近する局面はあったものの、逆転までは至らず後手優勢が徐々に明らかに。
終局時刻は16時48分、最後は自玉の詰みを認めた斎藤五段が投了を告げて熱戦に幕が下ろされました。強豪相手に勝利を収めた原アマは次戦でベスト8入りを懸けて山根ことみ女流三段と対戦します。
水留啓(将棋情報局)