高校生を対象にした国内最大級のビジネスコンテスト「第10回マイナビキャリア甲子園」の決勝大会(2024年3月9日開催)で優勝の栄冠を勝ち取った高校生が3月15日、生命保険協会を訪問。生命保険会社の代表者が列席する前でプレゼンを披露した。

■高校生ならではのアイデア

開催10年目となった「マイナビキャリア甲子園」。今年のテーマは「BEYOND DECADE(10年を超える)」で、全国から2,736チーム・1万125名の応募があった。そのなかで生命保険協会から出題された「ITの発達による10年後、その先の社会を想像し、その社会において生命保険協会が提供すべき新しい価値を提案せよ」というテーマには、全国から多くの応募が寄せられた。

  • Creation部門で優勝を果たした質疑応答独占チーム

生命保険協会の代表に選ばれた『質疑応答独占』チームは、「Creation部門」で見事に優勝した。そこでこの日、メンバーである渋谷教育学園幕張高等学校2年生の池野さんが東京・丸の内の生命保険協会を訪問。主催者であるマイナビより、優勝を祝した賞状とトロフィーを受け取った。

  • 『質疑応答独占』の池野さん。麻布高等学校1年生の清水さんと2人でチームを組んだ

マイナビの担当者(杉本和磨氏)は「これまでの10年、これからの10年、10年を越えた未来、といった自由な発想をもとに様々なアイデアがあふれた大会でした。各チームとも、歳の離れた大人世代に対して『これが私たちの時代のスタンダードになる』ということを納得させるプレゼンが続きました。そのなかでも、この質疑応答独占チームは説得力が群を抜いておりました。SNSネイティブではない大人にとって、なぜ、そのサービスが必要になるのか、非常にロジカルで現実味のあるプレゼンをしてくれました」と総評した。

このあと、あらためてプレゼンが披露された。『質疑応答独占』が着目したのは、バーチャル空間における保険だった。要旨は、以下の通り。

  • プレゼンにのぞむ

世界はリアルからバーチャルへと変容し、誰しもがクリエイターとなり情報を発信できる時代になった。またジェンダーレスな考え方に代表されるように、個人の「肉体」から「精神」に重きが置かれるようになりつつある。

「世界は物質から精神へ。『自己』の定義が進化していきます。社会には、精神・自己の健康を保障するニーズが高まるでしょう」と池野さん。そこで、現在の生命保険ではカバーできない領域に対応するプランを考案した。

  • 自己の定義の内面化が進む時代に相応しい保険とは……?

「私たちが提案するのは、時代にあった『精命保険』です。あと10年もすれば、誰しもがバーチャルに集まる未来がやって来ます。でもその空間は、まだ法律の整っていない無法地帯です。そこで多様な自己(アバター、アカウント)に保険をかけるプランを提供していきます」(池野さん)

  • 多様な自己に保険をかけるという発想

たとえばメタバース空間において、利用者は自身が作成したアバターに保険をかけることができる。このアバターが悪意を持った第3者のなりすましにより被害を受けたときに、保険が適用される。同プランはSNSなどの各種サービスにも適用できる。

  • なりすましにより、アバターが遂行不能になっても安心

  • 新たなアバターでリスタートできる

「精命保険による安心感により、人々の挑戦が促進されます。ただのデータでしかなかった個人のアカウントに保険料が支払われることで、実態のないものに明確な価値を持たせることが可能になります。これは目に見えないデータにも所有・権利・価値を持たせたNFTの理念にも通じることです」(池野さん)

  • 最後まで落ち着いたプレゼンだった

終わりに「技術の進歩の先を読んで対応する精命保険によって、ウェルビーイングの社会を実現できたら」とまとめた。会場からは大きな拍手が送られた。

このあとの質疑応答で「デジタルによる世界の拡張について、どのような感想をお持ちですか」と聞かれた池野さんは「個人的には、これから来る『Web 4.0』『メタバース』などの世界観にワクワクしていますが、一方でまだ法律が整っていない部分もあり、今後はトラブルなども起こることが予想されています。そうしたことから、今回はデジタルが進んだ社会においても人々が安心安全に活動できるよう、裏側から支えられるような精命保険の仕組みを提案させていただきました」と回答。

家族や友だちの反応を聞かれると「注目するポイントが面白い」「こんな保険が出来たらワクワクする」などと言ってもらえた、と池野さん。「私の周りでは人の性格を16のタイプにカテゴライズするMBTI診断が流行っていますが、精命保険は、そんな精神面から人を評価する流れにも則したものになっている、という声もいただきました」と笑顔で話していた。